- 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第八期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第三節一回戦C卓
オーラスラス目ですが満貫ツモでトップ。チートイツ1シャンテンでテンパイ時の待ちを優先するなら残しですが、ツモならホンイツ役役の満貫も残り。トイトイ狙いより受けが広くなるメリットを重く見て打。
チートイツ1シャンテンに取れ、をポンされてが残り2枚。しかし北家の満貫ツモ、南家とのテンパイノーテンでも逆転されるとなるとそれでもチートイツよりは仕掛けがきくタンヤオ2シャンテンに受けます。
からチーしてクイタン狙い。いわば食い替えの鳴き。アガればトップならではの仕掛けです。
3900出アガリでもラス回避できるにも関わらずリャンメン受けを捨てる思い切った選択。をテンパイまで残せば周りはまず他家に止められますが、先にを切れば、「リャンメン受けまでは外さないだろう」と読んだ他家からの出アガリが期待しやすい。それならが将来他家の当たり牌になる可能性まで踏まえると先切りが見合うという判断でしょうか。リスクを負ってこそリターンが期待できるという一例ではありますが、なかなか選べなさそうです。
打ならツモに加えツモでもチートイツテンパイ。ただしが北家に通る保証が無く、北家がラス回避できる3900放銃で2着、満貫放銃でラス落ち。ただしとドラが見えていてがポンされてないとなると、北家にで3900以上を放銃するケースはあまりなさそうではあります。
ただしをツモったところでが残り2枚のみ。出ていくは北家にトイトイの満貫で放銃する可能性があります。自分がアガれなくても2着以上は堅いとなると、実戦的には放銃リスクを回避するのが無難そうです。
は4枚見えですがが見えていません。2000点では西家直撃以外はラスの北家の立場を考えると、から先切りのような手順も否定にまでは至らないところ。も4枚見えているのでロスはのみ。リスク自体は微小でも、リスクを負うことによるリターンがなおのこと小さいとみるなら一旦止めるというところでしょうか。
生牌を引いたところでは、まで止めるとテンパイ料で逆転トップのチャンスを失うので打。テンパイしたところでを勝負しましたが満貫放銃のラス落ち。ここでの南切りは先程のと比べるまでもないほどリスクが高いですが、トップ目東家は仕掛けに通っている牌を手出しで連打とノーテンの可能性が高い。流局でもトップ、トイトイがつかず3900止まりなら振っても2着。これなら勝負もやむなしというところでしょうか。
放銃したかどうかの結果論ばかりを気にしていると、リスクも大きいがリターンがそれ以上に大きい局面で降りてしまい、逆にリスクが小さいがリターンはそれ以上に小さい局面で押してしまうミスをしがちになります。あくまで打牌同士のリスクリターンの比較で判断すべきであることを心がけたいものです。