- 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第八期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第五節1回戦A卓
▼対局者
Ⓟ小林剛
就活生@川村軍団
Ⓢ福地誠
Ⓟ谷口浩平
チートイツ2シャンテン。南はソーズ引きからのホンイツ移行もあるので残す。チートイツがあるのでドラツモでも受け入れロスにはなりませんが、あえてから切る必要性は薄いとみて打としそうです。
ツモでもペンリーチドラ1で悪くはありませんが、ペンチャンを落としていた場合は345三色もある4連形残りのくっつき1シャンテン。先引き以外は損しないとみてペンチャンを落としそうです。浮き牌とペンチャンの比較は、残った浮き牌(ソーズ4連形)の価値が高いほどペンチャン落とし寄りになります。
ドラ2でも悪形×2の2メンツ1シャンテンとなると無筋は押しづらいですが、西家は南の手出しより前にを切っているので待ちの可能性は低い。降りるなら通っている牌から切ればいいだけなので、待ちを読むのはむしろ押し返しを考慮する場合です。
ポンして現物待ちの単騎に受ける手もありますが、「リーチ者と自分の2人で残り4枚の牌をツモる確率」と、「4人で残り2枚の牌をツモる確率」が同程度。リーチ以外の他家が必ず現物を切るとも、を切らないとも限らないので基本はスルーすることになりそうです。
真っ直ぐ押すなら打ですがリーチには通っていない牌。ドラなのによりが後まで残っていることから、のカンチャンからを引いて待ちになったケースも想定されます。が早いので待ちは考えにくくタンヤオもつく。現物切りのは三色が崩れるうえにツモ時の待ちが弱い。いかにもを切りたくなるところです。
結果的にはツモでテンパイを逃すのですが、テンパイを逃したのでが止まって放銃を回避する展開。マンズの切り順次第では、マンズのメンツ候補は残ってないとみてを押す選択肢も考えられました。切り順が1つ変わるだけで、展開が大きく変わることも有り得るのが、対人ゲームとしての麻雀の妙味です。
東家も4巡目でペンチャンを落としていれば結果的に西家ので一発のアガリになっていましたが、リーチするかどうかはあくまで今の手牌と局面で判断。最終盤とはいえリーチ棒出費より加点のメリットを優先します。
結果はカンの3900テンパイで押し切った北家が西家から出アガリ。開局から見応えのある攻防になりました。