- 『ネマタの第十期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第十期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第一節三回戦3卓
▼対局者
Ⓟ醍醐大
Ⓢ福地誠
タケオしゃん
独歩
東1局
ヤオチュウ牌が重なれば混老頭もあるので打。ただ実際はマンズホンイツで進めることがほとんど。河を派手にしない方が他家から仕掛けがききやすいという理由で打と迷うのは私くらいでしょうか。
チャンタがつけば12000の手にも関わらず打。対門の仕掛けにが当たるケースをケアしてでしょうか。打点を下げたとしても7700あり、道中を引いて再度12000の手になる場合もあるので、が通っていたとしても思ったほど損ではないかもしれません。
東家の仕掛けに絞っていた北家が何と東家の和了牌を使い切って七対子ドラドラ聴牌。
しかしここでツモ。この仕掛けでドラより後からマンズを切っているのでマンズホンイツなのは間違いないところ。マンズ待ち聴牌だとすればくらいしか残ってなさそうです。
では東家の7枚の手牌構成はどうなっているのか。北家視点では全てのマンズと字牌が2枚以上見えているので刻子は無し。①だとして、から打、ツモかで打が考えられます。
1シャンテンの形としては他にはが考えられますが、字牌がいずれも2枚以上見えているので、このケースで聴牌している場合は②のように必ず待ち。は当たりになりませんが、通してもこちらの和了の可能性が残っていません。
そうなると聴牌時点で①のケースならが山生き。②のケースなら稀に東家が降り打ちすることに期待してリーチを打つ手もありそうですが、を引いてしまった以上聴牌を崩さざるを得ないというところでしょうか。
裏を返せば待ちでないなら待ちが最有力ということですから、聴牌復活できるこの局面でもは止めた方がよかったように思われます。
東3局
はスルーしましたが、マンズが多少薄くなったこともありチー打でホンイツ狙い。
役牌だけの仕掛けならピンズのリャンカンは外さないので、を切ったところでマンズホンイツは明白。この段階でマンズを見せない方が役牌を仕掛けやすいので打。
東家が生牌を引いて降り。妥当なところですが北家の手牌構成を考えます。前図の時点からポンまで1枚もツモらず、ポン打からは全てツモ切り。にかかったラグが偽ラグでないと判別できるなら、を鳴いた時点でも鳴ける形が手牌に残っていたことになります。
がシャンポン待ちで当たるとするなら、からをチーして残り。なら跳満なのでを引いてもリャンメンに受けずにツモ切りというところでしょうか。
が単騎待ちで当たるとするなら、からチーからトイツ落とし。ただしこの形ならからはマンズくっつきでも聴牌するように字牌が切られそうです。
そう考えるとが当たりになるケースは意外と少なく、からをチーして待ちが残ったケースが本命。親で聴牌なら読みを入れて押し切る手も無くは無さそうですが、流石に無理筋かもしれません。
北家以外が降り気味に打っている以上、西家の最終手出しも大体通る牌ではあります。しかし西家が単に降りているのであれば、果たして手出しで現物でないをわざわざ切るでしょうか。聴牌が入って切られた牌となれば、ドラと何かのシャンポンはいかにもありそうです。
とはいえ西家からすれば形テンだとしてもを切るところ。聴牌を入れている北家の立場でを止めるのは難しそうです。
東4局
役牌ドラ3の完全1シャンテンの形。自分の手牌都合なら迷わずをツモ切り。同じリャンメンでも待ちが残りやすいように打つところです。
しかし西家からリーチが入り、いかにも「入り目でなければ待ち」の河。現物のでもシャンポン聴牌ですが、この手なら真っ直ぐ勝負したくなります。
しかし巡目が深いうえにの放銃率が相当高いとなると、「勝負手なら危険牌を切って手広く受ける」セオリーが通用できるかは微妙なところ。結果論ですが打ならをツモっていました。
また、将来の放銃率を加味して、前図の時点でを先に切ってを残す手も考えられます。も西家以外には通ってないので今回に関しては結果論の類だとは思いますが、どの搭子を固定するかについては、場況次第で判断を切り替えなければならないことが多い問題です。