第一章 手順
(12)一般的に、「安くて遠い仕掛け」はしないと言われますが、手役がつく牌をスルーしたうえであがれることはなかなかないものです。特に役牌トイツは、ポンせず雀頭で使うと平和もタンヤオも付かないので、スルーしてメンゼンで進めるメリットも薄いです。
「安くて遠い仕掛け」はしないというのも無難な選択ではありますが、それでは相手の手作りの力量が上がれば勝つことが難しくなります。安くて遠い、しかも安牌が無くなるので他家からリーチされると困るというのであれば、鳴いた後で、あるいは鳴く前に、リーチされても安牌に困らないような手組にすればよいのです。
ただ、安牌を○枚は持っておくという考え方は、基準としては分かりやすいですが実用的かどうかと言われると私は疑問です。「シャンテン数の数だけ字牌を持つ」とありますが、そもそも4面子1雀頭の候補が足りているなら、シャンテン数を超えて浮き牌を持つこと自体不可能ですし、面子候補が足りていないなら、浮き牌にくっつくだけでシャンテン数が進むので、安牌として字牌を持とうとするとシャンテン数が進む受け入れを大幅に減らすことになります。
安牌を抱えることより、「もっと勝つための現代麻雀技術論」で取り上げたように、アガリを目指すうえで、よりよい手を目指すことを先に考えることをお勧めします。安牌を持つことを特別意識しなくても、手作りの知識が身に付いていれば、自然と安牌を残しやすい手組になります。
例えば、場に安い面子候補は面子になりやすいだけでなく将来の安牌にもなりやすいですし、面子候補オーバーの場合に面子候補を落とせばその分安牌を持ちやすくなる。
面子も手役絡みの面子候補も無い場合に手役が見える浮き牌を優先して残すと、残す牌が限られるので自然と安牌を残しやすいという感じです。序盤は特別安牌を意識せずに手を進め、中盤になって比較的安全な牌を引いた時に初めて、手牌と局面に応じて、安牌を残すかどうかを決めるというのが私の方針です。
本記事に関するご紹介
ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。