第一章 手順
(13)チートイツは打ち手によって好き嫌いが分かれやすい手役です。好きな方も嫌いな方も、「面子手とは違う手作りの技術を要求される」ことが好き嫌いの理由になっていることが多いと思われます。ちなみに私自身は、昔好きな手役を聞かれて、メンホンチートイツと答えた程度にはチートイツ好きです。
とはいえ、いくら好き嫌いを言っても、与えられた手牌で勝負するしかないのが麻雀です。チートイツを見切るか、チートイツを残しながら打つか、はたまたチートイツに決め打つか。一応の基準として、「もっと勝つための現代麻雀技術論」第47回で取り上げましたのでご参照下さい。
天鳳名人戦の高レベルな卓でチートイツがあがれた場合も、実はトイツかぶりをしていることが多いというのは意外でした。シャンテン数が進むツモを逃すこと、いわゆる裏目がよくあることも嫌いな人が多い理由ですが、裏目は単なる不要牌…第6回でも申しましたように小林プロの言葉を借りれば、「情報流出の少ない最良のムダヅモ」。偶然は偶然と処理して、次の判断に影響を及ぼさぬよう心がけたいものです。
(14)「もっと勝つための現代麻雀技術論」第48回、チートイツに決める時の注意事項で同様の内容に触れさせていただきました。ここで簡潔にまとめると、捨て牌の情報が少ないうちは字牌だからといって他の牌より重なりやすいとはいえず、中張牌の切りが早いとチートイツを警戒されやすい。
よって重ねるのはむしろ中張牌の方がよい。待ちにするにはもちろん字牌にする方がよいが、2種持っていればテンパイ時にどちらかの待ちを選べるので、何種類も字牌やスジ、ノーチャンスを抱える必要は無いというところでしょうか。
「河作り」と言うと一昔前の古い技術にも聞こえますが、目先に面子の出来やすさより、アガリに近い段階の面子の出来やすさを優先した方がアガリ率で勝るということを考えると、「河作り」は、テンパイの段階で、出やすさという意味で面子を出来やすさを優先しているとも言えるので、むしろ合理的な選択であるとも言えるのではないでしょうか。
本記事に関するご紹介
ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。