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ネマタの戦術本レビュー第44回「神眼の麻雀 著:成岡明彦 編集:福地誠 その6」

ネマタの戦術本レビュー第44回「神眼の麻雀 著:成岡明彦 編集:福地誠 その6」

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第二章

 Q5 上家からリーチがかかってこちらはまだ2シャンテンですが、南場で大きく離されたラス目のうえ、2着以上が勝ち残りの条件戦ですから、単純にベタ降りするよりは、比較的通りやすい牌ならまだ切りつつアガリ目を残す方がよいでしょう。

 スジかつも3枚見えということで初見では打を考えましたが、回答に打とあり驚きました。成岡プロと回答が異なった問題については、打牌理由については納得しても意見を変えるほどではないことが多かったですが。今回については確かにの方がよいように思われました。

 理由としては3つほど挙げられます。1つ目は、アガリを目指すうえでは打と打も大差ないこと、2つ目は、この点数状況と条件では、東家に安手で放銃することはむしろ好都合であるということです。ここまでは本書でも言及されています。

 3つ目は、のリーチへの放銃率も、少なくともと大差ないと考えられること。これについては理由が本書では言及されていませんが、理由は2つほど挙げられるでしょうか。

 1つ目は、3枚見えでワンチャンスであることに加え、東家が切ったが面子候補の一部であったケースが比較的高く、が面子候補の一部であれば最後のも東家が持っていて(から打や、からを引いて打)、実質ノーチャンスになっている可能性が十分に考えられるということです。ワンチャンスは最後の1枚がどこにある可能性が高いかによって危険度に差がつくことは第一章Q2でも取り上げました。

 2つ目は、リーチ宣言牌が一度切っているであること。が浮き牌であるパターンは、2メンツ形で浮き牌を変化のために残しているか、テンパイを外してと何かのくっつき1シャンテン。

 前者は、リャンメンが揃っているならの代わりにを安牌として抱えることが多いので、良形テンパイの可能性は比較的低い。

 後者のケースでが当たるのはからを引いたケースが一例として挙げられますが、それならはツモ切らずにカンのダマに受けてもテンパイ外しと手変わりが大差ないのでテンパイに取っていることが多そうです。

 が面子候補の一部の場合、例えばから打として、テンパイ打牌が待ちが当たりになるのはツモのみ。いずれにせよ、単純なワンチャンス以上には通りやすいと言えそうです。

 成岡プロがどこまで意識したうえで打としたのかについては分かりかねますが、少なくとも私は実戦では打は思いつきもしません。改めて、読みも含めたあらゆる状況を素早く認識したうえでの打牌判断に驚かされます。

 Q6 打

 一発裏ドラ無しなので表ドラの価値が比較的高く、ノーテン罰符もないので他家からの出アガリが特に期待できないルールならではの選択と言えます。

 一発裏ドラ有りならメンピンドラ1でもアガリ時平均打点は6000点を超えるので、フリテンの可能性を残してまでドラ入りの面子候補を残すほどではないですが、一発裏ドラ無しなら、全員が降りるならフリテンが残ってもアガリ率には差がつかず打点はドラ2側が1.5倍。

 押してくる相手が居るならアガリ率に差がつきますが打点も更に差がつき2倍近くになる。先にを引いた時はフリテンにならない。を先に引いた時や、降りる他家が多い場合は受けを残すのがはっきり有利になるので、少なくともフリテンの可能性を残す選択が損ということはないのではないでしょうか。

 「の方がよりも山に残ってそうだけど、少しだけ固められている可能性がある」については本書で説明がありませんが、おそらくは序盤に切られているのでは他の牌より山に残っている可能性が高いが、からを切っているケースも一応あるということと思われます。ただそれは考慮しなくても、を先に切っている分、待ちの方が比較的出アガリしやすいので落としでよいとみます。

 ただ、待ちでテンパイしたところはフリテンでもリーチすべきとみます。もしフリテンになった場合はダマにするのが有利なのであれば、その場合はを落として待ちでリーチを打っていた方がよいので、落としが有利なのであればフリテンが残ってもリーチ有利と判断します。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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