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ネマタの戦術本レビュー第195回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その2」

ネマタの戦術本レビュー第195回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その2」

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例題3

 手変わり待ち基準については、「もっと勝つための現代麻雀技術論」第4回を御参照下さい。今回の手牌だとツモが良形変化かつ打点2倍以上になるので、へのくっつきだけで手変わりを待つには十分です。

 巡目が深くなると、必要になる手変わり枚数も増えますが、「できれば手変わりを待ちたいが待つには手変わりが少ない」という局面が頻繁に起こる(「科学する麻雀」の手変わり基準だと、終盤は手変わりを待てる例自体がほぼ存在しない)というのであれば、そもそもテンパイ以前の段階で手変わりをみた方がよかったケースが多いです。

 例えば問題の牌姿でを引く前に3〜7の浮き牌を引いた場合は、ペンチャンを切って浮き牌を残せば、をツモった時により手変わりしやすいくっつき1シャンテンになります。中盤過ぎになってもペンチャンより残した方がよい浮き牌を1枚も引かないのはそれこそレアケースですから、アガリに遠い段階ほど手変わりをみることを心がけていれば、先制リーチを減らさずに自然とより有利な手で即リーチが打てる機会が増えます。

 手変わりを待つかどうか迷った場合は、それ以前の段階で手変わりを残すべきではなかったかに意識を向けましょう。

例題4

 今回のように面子候補が足りていて良形の面子候補が揃っている場合も、序盤であればよりよい面子候補を作るための浮き牌を積極的に残すのが得策です。

 同じ手牌でドラ無しの場合も打としますが、ツモの場合今度は落としが有力です。面子候補オーバーなので面子候補を1つ落としてもシャンテンが落ちず、を引く前にが重なればホンイツ役役かホンイツチャンタ役で満貫になります。基本的に受け入れより少ない手変わりを待つことはないですが、シャンテン数を維持できるうえに、のみ手が満貫になるという特に強力な手変わりがあるとなると話は別です。

 鳴いても満貫あってシャンテンが進むのですから、だけでなくリャンメンからでも基本鳴くべきです。ただし、鳴くことでが出にくくなる場合は注意が必要です。特に絞られやすいのでなければ、役牌トイツはメンゼン限定のリャンメンと同程度に面子になりやすいですが、他家から鳴けないのであれば、メンゼン限定で2枚切れのカンチャンと同程度に面子になりづらいことになります。他家から出アガリが期待できない残り2枚のテンパイであれば、リャンメン×2の1シャンテンの方がまだアガリやすそうです。

 よって、リャンメンが揃っていて鳴いても満貫ある手であっても、役牌後付けが読まれやすくなるような19牌については、役牌が鳴けるまではスルーという選択も十分考えられます。この辺りはどの程度役牌を絞ってくるかという他家の打ち筋によって判断が変わることもありそうです。もちろんこれは一度スルーしても面子を作りやすいリャンメンの場合の話で、メンゼンで面子を作りづらい悪形面子候補を鳴く場合は、たとえ他家から役牌を止められる可能性が高そうであっても鳴いた方がよいでしょう。

本記事に関するご紹介

前著「黒いデジタル麻雀」で概念的に説明された戦術論を具体的な局面に落とし込んで解説しています。41の例題が収録されていますが、それらは決して単なる何切る問題ではなく、何を切り、何を考えておくべきかを問うています。ハイレベルになった現代麻雀において勝ち続けるにはここまで深く考えなければいけないのかと驚かされます。
 
石橋 伸洋 (著)
発売日:2016年10月26日
定価:本体1,490円+税
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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