- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
PART2 牌の危険度
1 放銃形確認
牌の危険度の考え方に関しては、筆者のブロマガも大変参考になります。放銃率がどの程度かという定量的なデータについては、『統計学のマージャン戦術』を御参照下さい。巡目、牌種別の危険度なので、「普通の愚形待ち」に当たりそうなものもそうでないものも含んだ値になっていますが、本書の内容と合わせれば、「普通の愚形待ち」がありそうかどうかでどの程度放銃率が変化するのかも予測できると思います。
麻雀戦術を語る以上、既に定着している麻雀用語を用いて説明されるのは致し方ないことですが、筆者のブロマガにもありますように、牌の危険度をスジという括りだけで考えるのは大雑把で精度に欠けます。
大雑把な概念を言葉で補完しようとするとどうしても文章量が増え、戦術論として難解なイメージを持たれる方もいるかもしれません。しかし実際にやることと言えば、データを踏まえたうえで、実戦では当たり得る組み合わせをチェックして図のようなイメージで危険度を比較するという至ってシンプルなもの。「◯◯だから危険、安全」と言葉で捉えがちな人は、その代わりとして実際に当たりうる形をイメージしながら判断されることをお勧めします。
2 待ち候補カウント
実戦で毎回リャンメンだけでなく、愚形の待ち候補までカウントするのは骨が折れます。まずは『統計学のマージャン戦術』で示されているような、牌ごとの放銃率、どの程度の手牌なら放銃率何%の牌を押されるかといった基本的な押し引き判断を押さえておきます。巡目ごとに平均何本のスジが通っているかも記載されているので、通ったスジの本数、愚形待ち候補がどの程度残っているかどうかで放銃率の目安を立てることができます。
待ち候補を「数える」と言っても、数えなければスジが何本残っているか分からないくらい多い時は、通っているスジの1本程度で押し引き判断が変わることは少ないので、重要なのは待ち候補が特に少ない場合。本書にある通り、待ち候補が特に少ないとなると、手牌だけならほぼ無条件で押せる牌も押せないケースが出てきます。基本的な判断が出来ているのであればそうした時こそ結果に差がつくので、勝負手が入っているときほどむしろ意識しておきたいところです。
3 その他の牌の危険度(簡易まとめ)
① リャンメン落としが入ったリーチ全体でみれば、本書で取り上げられている各種例外の多さからリャンメン待ちの可能性が高いとは必ずしも言えません。しかし、例外ケースは河に目立つ特徴が現れることが多いので、「リャンメン落とし以外に目立つ情報が少ない」リーチに関してはリャンメン以上の待ちが残っている可能性が高いと言えます。
リーチの待ちがリャンメン確定なら、通っていないスジn本なら無スジの放銃率が1/n(両無スジ456は2/n)となり、悪形待ちの可能性がある場合と比べ放銃率が大きく上がります。めくり合いで負けること自体も増えるので、まずまずのテンパイ形でも降りた方がよいケースが増えることになります。
② 序盤の先切りによってどの程度放銃率が下がるかについては、『統計学のマージャン戦術』にも記載があります。実戦ではそのことを踏まえたうえで、先切りが入った可能性がどの程度あるかも検証したうえで判断することになります。
③ 終盤の生牌字牌の危険度が無スジ並に危険になることは『統計学のマージャン戦術』にも記載されています。巡目以外でも、字牌は何かと放銃率が変動しやすい牌。降りる際は字牌よりも安全な数牌がないかに着目することも多いです。
④ 宣言牌周辺、いわゆるソバテンが危険になりやすい典型例です。ただし本書にある通りメンゼンの場合は何かと例外が多いので過信は禁物。「例外が多いからあてにならない」と判断するのも読みの一種です。
鬼打ち天鳳位の麻雀メカニズム
「麻雀は考えるのが大事とよく言われます。では実戦でどうすればより良い思考ができるでしょうか。答えは単純で、『考えられた結果を手が勝手に出力する』ようにすること
です」(まえがきより)
麻雀とは人間の処理能力を超えた情報量を与えられ、限られた時間でそこから最適解に近いものをいかに導き出すか、というゲームであると言えます。
その際に役に立つのが「システム」です。状況をある程度パターン化し、抽象化することで個々の事象に対して、最善の選択をする可能性を上げることができます。
本書があなたに提供するのは最高レベルのシステムです。驚異的な打荘数で知られる「鬼打ち天鳳位」ことお知らせ氏が生み出し、磨き上げられた55のシステムとその詳細な解説が本書に書かれています。