斎藤俊の旬な雀士を見てやんよ第2回松本吉弘後編「フロックで勝ったと思われないために」

最近放送対局ではすっかりヒールのイメージが定着した斎藤プロが、今最も旬な雀士を紹介していくこのコーナー。第2回は第25期發王松本吉弘プロです。

――こればっかり推すけどもっとオラオラでいかないの？

松本：コワモテ企画の番組とかあったけど、スリアロさんにキャラぶれてるとか言われちゃって(笑)見た目怖いとか言われるけど自分の中ではそれはそれでいいと思ってる。みんなに何でそんな低姿勢なの？って聞かれますけど、単純に新しく出てきて發王獲ったからと言って、「俺クラス麻雀大丈夫っしょ～、勝つっしょ～、余裕余裕～」とか言ってたらただの嫌な奴じゃないですか(笑)俺は順当で行きますよ！

――(隣で聞いていた松嶋桃プロ)　顔が怖いことで悩んでるの～？強面＆中身いい人っていうギャップ萌えでいいと思うよ～？

松本：いやいやそこまで悩んではいないですよ(笑)ってか顔と中身のギャップ萌えする人とかいるんですか！？

――今度松ヶ瀬さん辺り誘って「強面でも内側いい奴四神降臨」的なのあっても面白いかもね。

松本：まぁ僕のキャラは使い勝手も良いとは思います。ただし、あくまでそれは付属で。顔が怖いだけのネタキャラになっちゃうのが一番怖いので、麻雀だけはしっかりしていきたいんです。顔の怖さが先行して行きそうなところで發王を獲れたっていうのが、麻雀の結果としてのアウトプットとなり本当に嬉しかったです。今後より一層頑張って更なるタイトルを取っていきたい。

――俺は松本君に「おめでとう！」と言いつつ半分は嫉妬に近い気持ちがある。

松本：それはある種当たり前の感情ですよね。

――そうそう。雀王リーグ出てる人は、角谷ヨウスケの首を獲るつもりで参加しなければいけないし、雀竜位だったら江崎文郎、女流雀王なら朝倉ゆかりとターゲットが明確にいる。松本君は發王参加者からの首を狙われる立場になった。

松本：今回のことで奢らず上の人とは差を詰める、下の人とは差をつけるつもりで精進します。こういうのに終わりはない。ハングリー精神に基づいてどんどん向上していきたい。

――本当に君はしっかりした人だよね。

松本：僕、こう見えて麻雀対局ってすごい多くの量見ているんです。メディアを通じての決勝戦や上位リーグ、テレビ対局に加えセット麻雀の見学もする。上達には他人の麻雀をしっかり見ないといけないと感じています。多くの人の良い所をかき集めているイメージですね。デジタル、アナログ、オカルト・・・いろいろなジャンルがあるけど、本当に人それぞれ良い所がある。白鳥翔(日本プロ麻雀連盟)は自身をハイブリットと言ってます。それは良い言葉だと思います。一つの能力に特化させるのも麻雀戦術の一つだと思いますが、僕は打点のみならず、仕掛け含めたオールラウンダーを目指しています。

――これは俺の勝手な理想だけど、大きなタイトル戴冠をした人は責任が付いて回ると考えている。あいつが獲るくらいだったら自分が獲った方が良かった、と思う人を限りなく0にしていく努力が必須と考えているんだよね。

松本：新しい人が勝つと”フロックで勝った”というイメージが付いて回ってしまう。それは放送対局でもそう。だからこそ、その後の一打一打が大事だと思っている。やっぱり松本強いんだって言ってくれるように努めていこうと思ってます。

――君は本当に強いと思う。發王はフロックではないでしょう。

松本：打ち方は競技打ってから変わった。また決勝の麻雀って独特じゃないですか。これらは多くの対局を見てきた経験から予めイメージしていたものがあるのでスムーズに対応できたのだと思います。自分の中では高打点思考とは思いますが、小林剛(麻将連合)プロの仕掛け、捌き、鈴木達也プロの重厚さ、そして鈴木たろうプロの大局観など、世に出ているトッププレーヤーのハイブリッドを目指していきます。

――今日は協会タイトルの雀竜位決定戦の放送で、実況解説でコンビを組みました。松本君が実況でしたが、声が落ち着いてて良かったですね。發王ということで実況は勿論、解説のお仕事も増えていくと思います。

松本：実況も解説も先輩方の良い所を沢山吸収していきます。プレーヤーとしても幅広く活躍していきたいですね。

――一緒に麻雀界を盛り上げて行きましょう！

松本：是非ご指導ご鞭撻をお願いしま・・・

――どんだけ低姿勢なんだよ(笑)