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有言実行、浅井堂岐「楽しんで努力する」Mリーガー列伝(46)

有言実行、浅井堂岐「楽しんで努力する」Mリーガー列伝(46)

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 「夢はMリーガー」と公言していた浅井堂岐選手(日本プロ麻雀協会)は、Mリーグ2024-25ドラフト会議でセガサミーフェニックスから指名された。麻雀プロ活動を続けるため、時間の融通が利く仕事を求め、25歳の時に営業マンからシステムエンジニア(SE)に転身。プロ入り12年目となる2022年、日本プロ麻雀協会の最高峰タイトル「雀王」を獲得し、2024年に念願のMリーガーとなったその素顔とはーー。

夢を公言されたのはいつ頃からですか?

「日本プロ麻雀協会のA2リーグからA1リーグに昇級した2021年、来年は雀王になれるかもしれない。その先にはMリーガーになれる可能性がある。Mリーガーはゴールでありスタートなんですけど、まずはそこにたどりつかなければ、できないことが多すぎるため、そこを目指す中で自分がすごく成長できると思ったんで公言し、そこに向けてきちんと筋道を立てて行動していくという感じでした」

Mリーガーになってから意識されていることは?

「応援してくれる人の思いに対しては、ちゃんと応えていきたいと思っています。振り返ればA1リーグに昇級できると確信出来、麻雀プロとして目指すべき明確なルートが見えた時、すでにそういう意識が芽生えたのかもしれません。もちろん当時は実際にMリーガーになれるとは正直思ってはいなかったんですけど、応援し続けてくれている人たちにありがとうという気持ちはずっとありますね」

幼少期に夢中になっていたことは?

「小学校の頃は野球をやりたかったんですけど、学校に野球部がなかったのでサッカー部に入部しました。なので弟とはキャッチボールをやってましたね。中学と高校では野球部に入りました。野球の練習が終わるとバスケやったりサッカーしたりという日々で、とにかくよく運動してました」

「幼少期、弟とのキャッチボールは僕がピッチャーで弟がキャッチャーでよく遊んでました」
誕生日は12月24日。「弟と妹が生まれるまで、誕生日とクリスマスそれぞれでプレゼントをもらえることに気づかなかったですね」

麻雀を覚えたのはいつ頃ですか?

 「大学生の時です。1年浪人したんですが、ずっと田舎に住んで野球と勉強しかしていなかったので、このまま生きていったら人間として変な感じになってしまうと思ったので、大学に入ったらとにかく遊んで視野を広げようと決めていたんです」

 「入学後は居酒屋でアルバイトしながら麻雀ばっかりやっていて、就職が決まってからは、仲林圭U-NEXT Pirates)もいた麻雀店で働いていた時期もありました。卒業後は3年ほど営業をやっていたんですが、もともと知り合いだった仲林や矢島亨さん(日本プロ麻雀協会)の活躍を見ていて、自分もプロ入りしたいと思ったんです。ただ営業の仕事を続けながらプロ活動はできないと思い、25歳の時に時間の融通が利くSEになろうと一念発起しました。SEは未経験でしたが、仕事は会社に入って覚えていったという感じでした」

好きな役は?

「三暗刻が好きですね。ツモリ三暗刻はリーチするのが怖いんで、狙っていくことはあまり無いんですけど(笑)。なぜ好きかというと、ツモれた時が本当にうれしい。よかった、いた! みたいな。ツモれるかロンなのかは天と地の差があって、しかも踏み込まれたらだいたい負けてしまう待ちになることが多い。役牌と役牌待ちならまだいいんですけどね」

浅井選手の麻雀の特徴をひとことで言うと?

「終盤に打点を作って押し返す麻雀です。具体的には相手のスピードを見て、そこに合わせてなるべく高い手を作ってぶつけていくので、追っかけリーチが多いですね。ちなみに『逆襲のヘラクレス』という異名は、イラストレーターの長岡武志さんが名付けてくれたんですが、逆転トップが多い戦いぶりを表現してくれた異名なのでとても気に入っています」

Mリーガーとしての目標は?

「目標はファイナルですけど、やはりレギュラーシーズンを突破することですね。実際にMリーグで戦ってみるとレギュラーシーズンは重たすぎると感じています。全9チーム中で下位3チームに入ってしまうと(※)、翌年はメンタル的に来るものが絶対にあると思うんです。そこで追い詰められてしまったら、いい麻雀が打てなくなってしまうかもしれない。そうなってしまうのは嫌だなと感じたんで、まずはレギュラーシーズンを突破することが大事だなと思っています。突破できればファイナル優勝も見えてくると思うんで」

※同一選手構成で2シーズン連続セミファイナルシリーズに進出できなかった場合、レギュレーションで翌シーズン最低1名の選手を入れ替え、チーム編成を変更することが定められている

「筋トレすると前頭葉の働きが活発になってポジティブになれるそうなんで、麻雀にもいい影響があるんじゃないかなと思って継続しています」©︎Mリーグ

好きな言葉は?

 「『楽しんで努力する』。30代後半からはそう思えるようになりました。麻雀プロになった20代の頃は、なんで俺じゃなくてあの人が注目されているんだと嫉妬したこともあったんですよね。今は自分のミスする範囲や出来ないことの範囲もある程度はわかっているつもりなので、またやちゃったなと自分を客観的に見られるようになってからは嫉妬心も無くなりましたね」

 「実際、YouTubeを始めた当初のチャンネル登録者数は少なく、ライブ配信を見てくれている人が少なくても楽しんでやってこれたし。雀王になってからEX風林火山BEAST Xのドラフト指名オーディションを受けても勝ち切ることはできず、Mリーガーになるのはかなりきついなとは思っていたんですが、それでも楽しんでやって来られた。40歳になるまでにMリーガーになれなかったら、麻雀プロとして別の道を探そうとも考えていました。ただそういう頑張り続ける姿を見せることは次の道につながるはずだと信じていたので、今は楽しく頑張って来てよかったなと思っています」

近藤誠一監督(左)からの期待も大きい。「トップの可能性がある場合は、かなり無茶していいと思ってますし、そこは得意です。トップを取れない場合は、なるべくラスを引かない。なるべくですけど」

好きなことを仕事にするためには?

「好きなことが仕事であれば、楽しいことが何かしらあるはずなんで、それを探し出す。もしくは好きなことをするために仕事をすると割り切る。私の場合は麻雀プロを続けるためにSEになったので、好きも嫌いもなく割り切っていて、ただちゃんとSEの仕事をやるというだけ。楽しんで努力出来ることをやったほうが、たとえツラくても続けられると実感しています」

◆写真:河下太郎、インタビュー構成:福山純生(雀聖アワー)

浅井堂岐(あさい・たかき)プロフィール

1985年12月24日、埼玉県生まれ。O型。明治大学経営学部卒。日本プロ麻雀協会。2010年、25歳でプロ入り。主な獲得タイトルは初代皓王位(はくおうい)、第21期雀王。YouTubeチャンネルは『浅井たかきの麻雀進化ロン!』

▼浅井たかきの麻雀進化ロン!はこちら

浅井堂岐 年表
年齢 主な出来事
1985 0歳 埼玉県熊谷市で3兄弟の長男として誕生
2001 15歳 埼玉県立熊谷高等学校入学、野球部に入部
2003 18歳 埼玉県立熊谷高等学校卒業
2004 19歳 明治大学経営学部入学
2007 23歳 明治大学経営学部卒業
2010 26歳 日本プロ麻雀協会にプロ入り、営業マンからSEに転身
2021 35歳 天鳳タイトル戦「皓王戦」初代皓王位獲得
2022 36歳 A1リーグ昇級、第21期雀王獲得
2023 37歳 EX風林火山ドラフト会議指名オーディション大会「IKUSA」セミファイナル進出、BEAST Japanext(現BEAST X)ドラフト会議指名オーディションファイナル進出、麻雀最強戦「タイトルホルダー頂上決戦」で逆転勝利
2024 38歳 セガサミーフェニックスよりドラフト指名

 

 

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