- 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第八期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第二節一回戦A卓
▼対局者
ASAPIN
タケオしゃん
Ⓟ小林剛
独歩
次節(11月30日)まで期間が空くので、これまでの対局の中で気になった局面を取り上げていくことにします。
西家はドラの見落としかチートイツ1シャンテンから打。これを東家がポンして打。にくっつけば受け入れは広くなりますし、周りを持っていないことが読まれ待ちを絞られやすくなるので打としそうでしたが、ドラを切ってきた西家の手が早いとみて、この時点で安牌になりやすい牌を残したというところでしょうか。
ドラをポンした勝負手だから手広くとはよく聞きますが、ドラを切ってきた他家も相応の勝負手だから、押し返しやすいように安牌を残しておくとも考えられます。しかし序盤でドラ切りは見落としや、使いにくいドラは早めに切るという打ち手のスタイルで実はまだ手が入っていないケースも有り得ます。このあたりを踏まえたうえでどの程度自分の手牌都合で進めればよいかを判断するのは難しいものです。
東家がドラポンとはいえ、トップの比重が大きいルールなら仮に東家が確実にテンパイだとしてもリーチが悪くないところとみます。ラスのマイナスが大きい天鳳名人戦、ダマなら使われづらいが他家から切られやすいということもありダマを選択。東家はより後からを手出ししているので、良形ターツが揃っているとみてよいでしょう。今回のようにポン以外のメンツが無く2シャンテンのケースもありますが、2メンツできている場合はテンパイでその可能性も低くないとみるとこのケースならダマ有力かもしれません。
東家からダマ3900のアガリ。結果的にはまだ山に残っているので、東家としては放銃したとはいえ南家がダマを選択したことはむしろ有難いと言えるかもしれません。
もし東家がポンでを切らずにヤオチュウ牌から切り出していれば、南家はテンパイ時点で、ドラポンの東家がまだアガリに遠い可能性も高いとみてリーチを選んだかもしれません。「高打点の時ほど河が目立たないようにする」が基本とみますが、この手の兼ね合いがあるので、本当に有力な選択が何かを検証することも難しさを知らされるような一局でした。