- 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第八期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第七節三回戦B卓
▼対局者
ASAPIN
Ⓟ小林剛
Ⓟ石橋伸洋
就活生@川村軍団
メンツ手3シャンテン、チートイツ2シャンテン。メンツ手としては悪形残りのうえドラを1枚切ることも多いのでなおのことチートイツ本線。字牌を待ち頃の単騎として残すなら打でもよさそうですが、切りの南家がを持っている可能性が低く、単騎が残った場合の待ちの強さを意識して打を選択。
基本的に字牌単騎がアガリやすいとはいえ、序盤から中張牌を連打して字牌切りリーチだとチートイツの字牌単騎が読まれやすい。字牌はだけ残していればツモで中単騎になり、ツモでもと切って単騎は読まれにくい。河を強くする狙いで切りを選択。
と切ってリーチだと、と何かのシャンポンと読まれやすく。シャンポンとするなら片割れが字牌であることも少なくない。一方ここで切りリーチなら待ちは相当読まれにくい。他家の手牌に不要になりやすいのはなので、単騎の方がアガリやすいと言えるかは難しいところですが、他家がこちらの河を読んでくることを意識したうえでの判断です。
結果は家から一発でが出て、裏ドラがになり倍満という最高の結果に。南家としても発よりはむしろの方が通るまであり、を切ればチートイツドラドラ1シャンテンになる以上やむを得ない放銃です。
手変わりがあまり多くないのでカンで即リーチを打ちそうですが、北家がラス目にもかかわらず早々とドラ切り。既にを使い切れる打点十分の手の可能性も結構ありそうです。
通常は2手先の手変わりを狙ってテンパイを外すことはあまりないのですが、カンのアガリにくさに加えて、大会形式である以上目標は優勝。南家に大きくリードされた以上、あわよくばの高打点からトップに立てる可能性を高めたかったというのもありそうです。この判断が功を奏しタンヤオ三色赤テンパイ。しかもは山に全生き。はテンパイ時点で山に1枚も残っていませんでした。
をツモって跳満。このアガリが活きてこの半荘もトップで終えることが出来、上位とのポイント差を縮めることができました。ここだけ切り取ってみるとまるで魔法のようですが、手牌と局面、大会ルールに応じた最善の選択を突き詰め、抽選が噛み合ったが故の結果というところでしょう。上手くいくかどうかはどこまでも運次第ですが、万全を尽くしてこそ得られる最高の結果を、少しでも取りこぼさぬように打てるようになりたいものです。