闘牌指導とは?
「概ねの流れは、①キャストに麻雀を教える→②麻雀シーンに合わせてどんなカットを取るのかを制作スタッフと打ち合わせして決める(リーチのシーンをどんな角度で撮影するのか等)→③カット数に基づいて牌譜を作成→④クランクイン(現場で牌山や手牌を作り、キャストの所作等をチェック)→⑤ラッシュが送られてくるたびに何度も麻雀シーンをチェック、とまあ、こんな感じですかね。漫画原作の場合は、肝のシーンが決まっているので、そこに合わせて作っていくことが多いです」
「たとえば『咲-Saki-』の原作内には、具体的な牌譜(将棋でいえば棋譜)は描かれていないこともあるので、そこは牌姿を見せずに、点棒を多く渡すことで、相手がいかに大きな手でアガったかを表現したりもします。状況によっては現場で即興の闘牌シーンを作ることもありましたね」
「現場での牌山や手牌作りですが、単に並べるだけでは時間がかかってしまうので、あらかじめケースの中に闘牌シーンを仕込み、真上から写真を撮っておきます。この写真があれば、誰でも現場でスムーズに牌山や手牌をセッティングできるわけですね。僕らはこれを『設計図』と呼んでいます。もちろん徳田の発案で、初めて闘牌シーンを撮影する監督にとっても合理的でわかりやすかったんじゃないかなあ」
闘牌指導は人それぞれ?
「僕の場合、麻雀を覚えさせるだけではなく、好きになってもらえるように闘牌指導してしまいます。出来れば撮影が終わった後も、麻雀にハマってほしいという思いがあるからなんですね。ただ、そういう指導は時間がかかってしまうことが難点。現場では制作スタッフとぶつかることもありました。とにかく時間がないから、形だけで十分と言われてしまうんですよね(笑)。でも麻雀にハマってくれると、牌さばきが自然に綺麗になっていくんですよ。だから今でも麻雀をやり続けてくれる『咲-Saki-』のキャストたちの姿を見ると、もう本当に嬉しくて仕方ありません」
どんな人が麻雀の仕事に向いているのか?
「当たり前の話ですが、プレイヤー志向が強い人より、クリエイター志向、裏方志向の強い人のほうが向いていますね。闘牌指導であれば、麻雀を知らないキャストさんでも、牌の倒し方、リーチ宣言牌の置き方、リーチ棒の出し方といった所作で、いかに打ち慣れている感を出せるか、そういった部分に気づける人が向いているわけです」
「Mリーグの創設に伴い、プロ業界には今後、麻雀に関するオファーが増えていくと思います。ただ、それをどう仕事として育てていくのか。どういう部分で利益を生み出していくのか。シチュエーションに合わせた提案を考えていくことが、さらなる広がりにつながっていくことは間違いないですね」
座右の銘は?
「これは野村克也氏の言葉なんですが、『アマは「自分が喜ぶ」。プロは「人が喜ぶ」』。これからも、この言葉通り『プロ』の自覚を持ち続けたいと思っています」
馬場プロにとって麻雀とは?
「日本人の素晴らしさが集約されたゲーム。もちろん発祥は中国ですが、フリテンやリーチは日本人が独自に考えたルール。アメリカルールからは七対子を取り入れ、今の形が出来上がってます。オリジナリティは無いけれど、アレンジを加えて最高のゲームにしたのは日本人の叡智です。まさに国民性の結晶なのかなと」
「ここ数年、対局映像が主体となり、プロ雀士の存在価値みたいなものも変わってきました。もうプロに『強さ』だけが求められる時代ではないのかもしれない。昔と違いアマチュアでも充分『強さ』を究められますからね」
「したがってアマチュアとの明確な違いは、プロとして何を伝えられるのか、ということに尽きると思います。麻雀の奥深さでもいい、本人のキャラでもいい、『強さ』よりも魅力的な世界を見せていく。そこにプロの皆さんの、各々の存在価値のようなものが出てくるのではないでしょうか。自分の麻雀を人に観ていただき、喜んでもらうことこそプロの矜持。Mリーグが発足した今こそ、『プロ』の真価が問われる時代が訪れたともいえますね」
インタビュー・文責:福山純生(雀聖アワー) 写真:河下太郎(麻雀ウオッチ)
片山まさゆき先生原作!馬場プロが闘牌指導!
映画『ノーマーク爆牌党』は10月27日公開!!
馬場プロコメント「とにかくキャストがいいんです!しかも今回の主要キャスト4人は全員血液型が異なるんです。石田明さん(NON STYLE)はB型。長澤茉里奈さんはO型、高崎翔太さんはA型、矢本悠馬さんはAB型。キャストの役柄にもそれぞれの血液型がにじみ出てピッタリ合ってました。監督は映画『釣りバカ日誌』シリーズで助監督を担当されていた富澤昭文監督。注目のラストシーンは、原作には無いシーンも入っているんで、お楽しみに!」
原作:片山まさゆき
監督・脚本:富澤昭文
キャスト:石田明(NON STYLE)、矢本悠馬、長澤茉里奈、高崎翔太、モロ師岡他
企画・配給:AMGエンタテインメント
公式サイト:http://bakuhai-movie.com/
マージャンで生きる人たち back number
- 第1回 株式会社ウインライト 代表取締役社長 藤本勝寛
あらゆる挑戦は、すべて〝妄想〟から始まる - 第2回 株式会社F・R・C代表取締役 香宗我部真
"作業"が"仕事"に変わった先にあるもの - 第3回 ターナージャパン株式会社 制作部 プロデューサー 上島大右
好きなことを仕事にしようと考えるより、自分の仕事を好きになる努力するほうがいい - 第4回 フリーアナウンサー 土屋和彦
しゃべるのが仕事。しゃべることを取材することも仕事 - 第5回 株式会社セガ・インタラクティブ セガNET麻雀MJディレクター 高畑大輔
「マージャンのおかげでキレなくなりました(笑)」 - 第6回 RTD株式会社 代表取締役 張敏賢
「目指すは、新しいマージャン文化の創造」 - 第7回 漫画家 片山まさゆき
「盆面〈ぼんづら〉がいい人生。仕事も麻雀も。そうありたい」 - 第8回 株式会社アルバン 専務取締役 船越千幸
「奪い合うのではなく、増えるきっかけを生み出す」 - 第9回 健康麻将ガラパゴス創業者 田嶋智裕
「参加者に喜ばれ、なおかつ社会的意義のあることをやり続けたい」 - 第10回 株式会社日本アミューズメントサービス代表 高橋常幸
「希望が持てる業界を構築し、麻雀で社会を変えたい」 - 第11回 《More》プロデューサー 菊池伸城
「躊躇なく一気にやることで、世界は開ける」 - 第12回 麻雀キャスター 小林未沙
「想像力をどれだけ膨らませられるかが勝負です」 - 第13回 麻雀評論家 梶本琢程
「面白かったら続けたらいい。うまくいかなかったら次を考えたらいい」 - 第14回 麻雀AI開発者 水上直紀
「常識を疑い、固定概念を崩したい。強くなるために」 - 第15回 麻雀観戦記者 鈴木聡一郎
「ニュースがライバル。そう思って書いてます」 - 第16回 株式会社サイバーエージェント AbemaTVカンパニー編成部プロデューサー 塚本泰隆
「決断したことに後悔はしない。麻雀から学んだ思考です」 - 第17回 劇画原作者 来賀友志
「麻雀劇画の基本は〝負けの美学〟だと思っています」 - 第18回 株式会社シグナルトーク代表取締役 栢孝文
「始める、続ける、大きく育てる。愛する麻雀の“弱点”を補うために」 - 第19回 フリーライター 福地誠
「まだ本になったことがない新テーマの本を作りたい」 - 第20回 声優 小山剛志
「もがき、あがき、考える日々。一体いつまで続けられるのか」 - 第21回 映画監督 小沼雄一
「大変だけど、やってみる」 - 第22回 麻雀企画集団 バビロン総帥 馬場裕一
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「高校野球中継のスタンド取材が今に生きています」 - 第25回 子供麻雀教室講師 山本健
「好きな言葉は、テンパイ即リー、数打ちゃ当たる!」