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点牌教室ボランティア 松下満百美 「やってあげているという意識は無いほうがいい」【マージャンで生きる人たち 第23回】

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具体的なゲーム進行は?

「全自動卓で配牌が上がってきたら、上積みされた牌を下ろし、2列に並べます。山牌が積まれた状態だと牌に手がぶつかってしまうからです。親がサイコロを振ったら、サイコロの目を読める方が読み上げます。そして王牌(ワンパイ)を卓の端によけてからドラを開示し、配牌を取っていきます。そこから手牌を並べていくわけですが、パーテーションを使用して牌を表にした状態で進行する方と、配牌を立てたままで進行する方がいらっしゃいます。そして発声しながら打牌を行います。イーソー!みたいな感じです」

「仕掛けに関しては、たとえば誰かが発をポンする場合、発!と言って切った後、ポン!と声がかかれば、声がかかった牌を真ん中に置いて取りやすいようにしてゲームを進行していきます。リーチをかける場合は、リーチをかけた人が自分の河に何が切られているのかを読み上げていきます。対局者はそれを記憶しながら、打牌していくわけです。終盤のリーチだと記憶する牌は自然と多くなります。とにかく耳が頼りなので、発声はとても大事です。点棒は元々仕分けされている中から取り出し、手渡ししています」

対局中も笑いが絶えない教室。木製のパーテーションは、折り畳めるお手製の一品

 

どんな方がボランティアに向いているんですか?

「どなたでもいいと思います。麻雀が好きな方であれば。ただやはり、優しくお声かけが出来る方がいいのではないかと思います。私たちが発する声で、いろいろなことを判断されていくわけですから。声のトーンで、プライベートで何か嫌なことがあったんじゃないかしらと心配されることもあるんじゃないかと思うんです」

「そういえば先日、ボランティアスタッフふたりと生徒さんおふたりとで2泊3日で麻雀旅行に行ってきました。女性4人なんで同じ部屋に泊まったんですが、多くの気づきがありました。生徒さんのおひとりは、海外旅行にも行かれるアクティブな方。当初教室でお会いしたときは、桜が綺麗に咲いていたりすると、そういったことは言わないほうがいいのかなと思っていたんですが、言ってもらったほうが情報が得られるからいいとおしゃってくださったんです。だから今日は富士山が綺麗に見えるわよと、情景もお伝えしながらの楽しい旅となりました」

松下さんにとってボランティアとは?

「やってあげているという意識は無いほうがいいと思っています。やっていて私自身も楽しいほうが人生に充実感が生まれます。自分も楽しいし、相手も楽しいわけですから。気を遣わず、健常者の皆さんと同じように接するのがいいと思います」

「何より自分自身の麻雀の幅が広がりました。麻雀自体の幅というか、人生の幅が広がり、より豊かになった気がしています。それは麻雀だけに限らず、皆さんの生活環境にも興味を持てるようになれたからです」

教室が終わってから、一杯飲みに行くことを楽しみにされている生徒さんも多い

 

インタビューを終えて

 日本各地で災害が起こるたび、ボランティアが必要とされる昨今。2018年8月には行方不明になっていた2歳児を発見したスーパーボランティア尾畠春男さんの救出劇がニュースとなり、世間にやすらぎを与えてくれた。

「困っている方がいらっしゃればどんどん声をかけて頂けたらと思っています。トイレなど公共の場にも点字表記があるところもありますが、汚くて触りたくないという方もいらっしゃるんです。だから『どうしましたか? 何かお困りですか?』と声をかけて頂けたらと思うんです。声かけしてくれるほうが助かるそうです」と松下さんは微笑む。

 2020年には東京オリンピック・パラリンピックが控えている。声をかけてみようと思うことから、ボランティアが始まることを教えて頂いた。

インタビュー・文責:福山純生(雀聖アワー) 写真:河下太郎(麻雀ウオッチ)

品川区・点牌教室(視覚障害者教室)とは?

視覚障害者向けの点牌(点字マージャン)を使った教室。1994年、故・田嶋智裕さんが東京都盲人福祉協会や日本盲人会連合と連携し、目の見えない方のために大会を開催したことをきっかけに、毎月第2土曜日に開催。現在ボランティアスタッフは男性3名、女性3名。立ち上げ当初から20年以上お手伝いされている方や、点牌シールを製作し、点字翻訳もやられている方に支えられ、運営されている。麻雀初心者や点字に不慣れな方も大歓迎とのこと。

⬛︎開催日:毎月第2土曜日10:00~17:00
⬛︎開催場所:日本健康将協会五反田ふれあい研修サロン
⬛︎住所:東京都品川区西五反田2-4-2東海ビル2F
⬛︎問い合わせ:電話03-5496-5840、FAX03-5496-5841
⬛︎担当者:田嶋智徳(たじま・ちとく)

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