具体的なゲーム進行は?
「全自動卓で配牌が上がってきたら、上積みされた牌を下ろし、2列に並べます。山牌が積まれた状態だと牌に手がぶつかってしまうからです。親がサイコロを振ったら、サイコロの目を読める方が読み上げます。そして王牌(ワンパイ)を卓の端によけてからドラを開示し、配牌を取っていきます。そこから手牌を並べていくわけですが、パーテーションを使用して牌を表にした状態で進行する方と、配牌を立てたままで進行する方がいらっしゃいます。そして発声しながら打牌を行います。イーソー!みたいな感じです」
「仕掛けに関しては、たとえば誰かが発をポンする場合、発!と言って切った後、ポン!と声がかかれば、声がかかった牌を真ん中に置いて取りやすいようにしてゲームを進行していきます。リーチをかける場合は、リーチをかけた人が自分の河に何が切られているのかを読み上げていきます。対局者はそれを記憶しながら、打牌していくわけです。終盤のリーチだと記憶する牌は自然と多くなります。とにかく耳が頼りなので、発声はとても大事です。点棒は元々仕分けされている中から取り出し、手渡ししています」
どんな方がボランティアに向いているんですか?
「どなたでもいいと思います。麻雀が好きな方であれば。ただやはり、優しくお声かけが出来る方がいいのではないかと思います。私たちが発する声で、いろいろなことを判断されていくわけですから。声のトーンで、プライベートで何か嫌なことがあったんじゃないかしらと心配されることもあるんじゃないかと思うんです」
「そういえば先日、ボランティアスタッフふたりと生徒さんおふたりとで2泊3日で麻雀旅行に行ってきました。女性4人なんで同じ部屋に泊まったんですが、多くの気づきがありました。生徒さんのおひとりは、海外旅行にも行かれるアクティブな方。当初教室でお会いしたときは、桜が綺麗に咲いていたりすると、そういったことは言わないほうがいいのかなと思っていたんですが、言ってもらったほうが情報が得られるからいいとおしゃってくださったんです。だから今日は富士山が綺麗に見えるわよと、情景もお伝えしながらの楽しい旅となりました」
松下さんにとってボランティアとは?
「やってあげているという意識は無いほうがいいと思っています。やっていて私自身も楽しいほうが人生に充実感が生まれます。自分も楽しいし、相手も楽しいわけですから。気を遣わず、健常者の皆さんと同じように接するのがいいと思います」
「何より自分自身の麻雀の幅が広がりました。麻雀自体の幅というか、人生の幅が広がり、より豊かになった気がしています。それは麻雀だけに限らず、皆さんの生活環境にも興味を持てるようになれたからです」
インタビューを終えて
日本各地で災害が起こるたび、ボランティアが必要とされる昨今。2018年8月には行方不明になっていた2歳児を発見したスーパーボランティア尾畠春男さんの救出劇がニュースとなり、世間にやすらぎを与えてくれた。
「困っている方がいらっしゃればどんどん声をかけて頂けたらと思っています。トイレなど公共の場にも点字表記があるところもありますが、汚くて触りたくないという方もいらっしゃるんです。だから『どうしましたか? 何かお困りですか?』と声をかけて頂けたらと思うんです。声かけしてくれるほうが助かるそうです」と松下さんは微笑む。
2020年には東京オリンピック・パラリンピックが控えている。声をかけてみようと思うことから、ボランティアが始まることを教えて頂いた。
インタビュー・文責:福山純生(雀聖アワー) 写真:河下太郎(麻雀ウオッチ)
品川区・点牌教室(視覚障害者教室)とは?
視覚障害者向けの点牌(点字マージャン)を使った教室。1994年、故・田嶋智裕さんが東京都盲人福祉協会や日本盲人会連合と連携し、目の見えない方のために大会を開催したことをきっかけに、毎月第2土曜日に開催。現在ボランティアスタッフは男性3名、女性3名。立ち上げ当初から20年以上お手伝いされている方や、点牌シールを製作し、点字翻訳もやられている方に支えられ、運営されている。麻雀初心者や点字に不慣れな方も大歓迎とのこと。
⬛︎開催日:毎月第2土曜日10:00~17:00
⬛︎開催場所:日本健康将協会五反田ふれあい研修サロン
⬛︎住所:東京都品川区西五反田2-4-2東海ビル2F
⬛︎問い合わせ:電話03-5496-5840、FAX03-5496-5841
⬛︎担当者:田嶋智徳(たじま・ちとく)
マージャンで生きる人たち back number
- 第1回 株式会社ウインライト 代表取締役社長 藤本勝寛
あらゆる挑戦は、すべて〝妄想〟から始まる - 第2回 株式会社F・R・C代表取締役 香宗我部真
"作業"が"仕事"に変わった先にあるもの - 第3回 ターナージャパン株式会社 制作部 プロデューサー 上島大右
好きなことを仕事にしようと考えるより、自分の仕事を好きになる努力するほうがいい - 第4回 フリーアナウンサー 土屋和彦
しゃべるのが仕事。しゃべることを取材することも仕事 - 第5回 株式会社セガ・インタラクティブ セガNET麻雀MJディレクター 高畑大輔
「マージャンのおかげでキレなくなりました(笑)」 - 第6回 RTD株式会社 代表取締役 張敏賢
「目指すは、新しいマージャン文化の創造」 - 第7回 漫画家 片山まさゆき
「盆面〈ぼんづら〉がいい人生。仕事も麻雀も。そうありたい」 - 第8回 株式会社アルバン 専務取締役 船越千幸
「奪い合うのではなく、増えるきっかけを生み出す」 - 第9回 健康麻将ガラパゴス創業者 田嶋智裕
「参加者に喜ばれ、なおかつ社会的意義のあることをやり続けたい」 - 第10回 株式会社日本アミューズメントサービス代表 高橋常幸
「希望が持てる業界を構築し、麻雀で社会を変えたい」 - 第11回 《More》プロデューサー 菊池伸城
「躊躇なく一気にやることで、世界は開ける」 - 第12回 麻雀キャスター 小林未沙
「想像力をどれだけ膨らませられるかが勝負です」 - 第13回 麻雀評論家 梶本琢程
「面白かったら続けたらいい。うまくいかなかったら次を考えたらいい」 - 第14回 麻雀AI開発者 水上直紀
「常識を疑い、固定概念を崩したい。強くなるために」 - 第15回 麻雀観戦記者 鈴木聡一郎
「ニュースがライバル。そう思って書いてます」 - 第16回 株式会社サイバーエージェント AbemaTVカンパニー編成部プロデューサー 塚本泰隆
「決断したことに後悔はしない。麻雀から学んだ思考です」 - 第17回 劇画原作者 来賀友志
「麻雀劇画の基本は〝負けの美学〟だと思っています」 - 第18回 株式会社シグナルトーク代表取締役 栢孝文
「始める、続ける、大きく育てる。愛する麻雀の“弱点”を補うために」 - 第19回 フリーライター 福地誠
「まだ本になったことがない新テーマの本を作りたい」 - 第20回 声優 小山剛志
「もがき、あがき、考える日々。一体いつまで続けられるのか」 - 第21回 映画監督 小沼雄一
「大変だけど、やってみる」 - 第22回 麻雀企画集団 バビロン総帥 馬場裕一
「プロは『人が喜ぶ』」 - 第23回 点牌教室ボランティア 松下満百美
「やってあげてるという意識は無いほうがいい」 - 第24回 フリーアナウンサー 松本圭世
「高校野球中継のスタンド取材が今に生きています」 - 第25回 子供麻雀教室講師 山本健
「好きな言葉は、テンパイ即リー、数打ちゃ当たる!」