- 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第八期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第一節二回戦B卓
次節(11月30日)まで期間が空くので、これまでの対局の中で気になった局面を取り上げていくことにします。
1シャンテンに取る打としてテンパイに取れる牌を引いても、が赤ドラ(ツモなら高め三色まである)となれば打でテンパイを外して手広い雀頭無し1シャンテンに受けるところ。それなら先に打とすることで待ちが残った時に出アガリしやすくする狙い。一手後の形を踏まえたうえで、少しでも有利になる選択を意識してなければなかなか出来ない打牌です。
面子候補が足りていて、を残してもよりよい面子候補を作らないので客風東を残して打。
次巡ツモ。を切っていますが今度はツモのリャンメン、ツモで345三色もあるので打東。端牌と字牌のどちらを切るかは意見が分かれやすいところですが、端牌切りを選ぶならターツを作り損ねた場合も、裏目を引いたとツモ切る前に本当に他に切る牌が無いかを意識しておく必要があります。
テンパイまで残った場合に初めてフリテンになるので、ツモもこの段階では受けが広くなる有効牌。3トイツなので受け入れ枚数ではトイツ落としの打西ですが、先にがアンコになるようなら落としでリャンメンを2つ残せる方がよく、リャンメンがメンツになった場合も、カンよりはどちらかと言えばのシャンポンが残る方がよいとみます。
かといってこの段階でマンズカンチャンを払うのは受け入れ枚数で劣るだけでなく、リャンメンやリャンカンへの手変わりも減らすことになります。また、最後のが切られた場合もカンが残っている方が有利。今回のように、手が進むツモ次第、あるいは局面の変化で次に切るべきブロックが明確に変わる場合は6ブロックに受けます。
345三色を残しつつ5ブロックに受ける打もありますが、ドラトイツなら高め2つ条件の三色を残すメリットは薄く、それより受けが残る方がよいとみてツモ切り。打でないのは手出しが少ない方が他家に与える情報量も少なくなるためでしょうか。
先にをツモって予定通りマンズカンチャン落とし。リャンメンに変化するならより端寄りのの方が強いのでから切ります。
ここから何とと引き戻し…
配牌からはなかなか想像できない一通テンパイとなり跳満のツモアガリ。盤石のトップとなりました。もし浮き牌のソーズを安易にツモ切りしていればこのアガリはありませんでした。浮いた字牌を安牌として残して数牌から切ることはよくあることですが、一度切った牌を引き戻す可能性もふまえたうえでの判断が必要であることを実感させられる局でした。