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ネマタの第九期天鳳名人戦牌譜検討  第90回

ネマタの第九期天鳳名人戦牌譜検討 第90回

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ネマタの第九期天鳳名人戦牌譜検討とは
  • 『ネマタの第九期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第九期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。

第九節二回戦

▼対局者

Ⓟ松ケ瀬隆弥
おかもと
木原浩一
Ⓢ福地誠

牌譜はこちら

東1局

最もテンパイしやすいのはメンツ固定の打ですがテンパイしても役無しドラ無し悪形テンパイ。本譜ではターツ落としの打を選択。1枚切れですが場にピンズが安いこととを切っていてスジ待ちになっている故の選択です。個人的には受け入れが大きく減るとはいえ三色の打点が大きいとみて打としそうでしたが、それだけピンズの安さを評価していると言えそうです。

ターツ落としのもう1つのメリットは、アタマができるかターツが増えることで更に手広くなること。手変わりを経由してイーペーコーテンパイ。残り2枚ですが、ピンズの安さを踏まえるとダマよりリーチに分がありそうです。

東2局

クイタンとしてはメンツ候補不足のうえに片アガリの形が残りますが、これくらいでも仕掛けがきく形に持ち込んだ方がアガリやすそうです。ドラ3あれば鳴いても打点がほぼ落ちないので鳴いて打。逆に言えばやや強引なクイタン仕掛けはドラを固めて持っている可能性が高いと読めますが、今回のようにアガリが遠いところからの仕掛けもあります。遠いところからの仕掛けならアガリを阻止するうえでも前に出る必要があるので、ドラが固まってそうな仕掛けに対して毎回降り気味に打った方がいいかとなると別問題。このあたりも麻雀の難しいところです。

序盤からホンイツチートイツの高打点テンパイ。切りの時点でリーチを打つのは宣言牌のスジでが警戒されやすい。の周辺牌を多く持っているので他家にとっても字牌と同程度に使いにくい。と並べてリーチはと何かのシャンポン待ちを想定されやすく、シャンポンの片割れとして生牌役牌が警戒されやすいというのが単騎に受けずにツモ切りリーチを選んだ理由でしょうか。個人的にはシンプルに字牌の方が他家に使われづらく、トイツ以上で持たれていたとしても降り打ちは十分ありうるので単騎リーチを選びそうです。

結果的には単騎ならアガれていたのを南家に満貫をツモられる厳しい展開になりました。

東3局2本場

前図の満貫から更に親満貫、親跳満とアガって東場にしてほぼトップを手中にしたところで下家からリーチ。一戦勝負なら現物を切って降りていてもよさそうですが2シャンテンからの無スジ切り。目的は目先のトップではなくあくまで優勝。ここまでトータルで大きくリードしている下家に高い手を直撃できれば大成果。振り込んだとしても大概はトップで終われるのですからまさに勝負処です。

逆にダンラスであっても、5200放銃でトビ終了。局が残ってさえいればラス回避の可能性がそれなりにあるとなればアガリに遠いところは降りの一手。結果的にはスジで振り込みとなりましたが、が多く見えたので放銃率はと大差ないうえにで振った方が5200以上である可能性が高い。が通ればもう1巡通せることを踏まえるとやむを得ない放銃です。

南2局

どちらの手牌で使わない浮き牌ですが、東家の切りに対して安牌になりやすい残し。上家の切りも、東家に比較的安牌になりやすい牌を残す選択と言えます。

一戦勝負で考えるならを切るところ。東家の手順からチートイツのような1枚切れ字牌単騎が当たる可能性は薄いです。また、何が何でもテンパイを入れる必要がある東家と、東家からの追いかけを想定してでもリーチを打った方が得と判断した南家とでは、高い手が入っている可能性は後者が高いということも言えます。

しかし、今後ラスを引かなければ優勝の可能性が高く、ラス目の対門が現状トータル2位であることを踏まえれば、下家に振ってでも対門の親が流れた方がよいというところでしょうか。結果は下家に跳満放銃。トータル2位以下は混戦状態なので、単純に支出を防ぐ選択を取りそうではありますが、目論見通り対門をラスにしたまま対局を終えることができました。

 

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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