- 『ネマタの第九期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第九期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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最終節四回戦
▼対局者
Ⓢ福地誠
就活生@川村軍団
おかもと
Ⓟ醍醐大
東1局
1枚見え同士の比較ならドラタンキとタンキは局収支にして倍近い開きがあり、タンキなら1枚見えと2枚見えでアガリ率にそれほど差がつきません。今回は1枚見えと3枚見えの比較ですが、アガリ牌の枚数が半減してもアガリ率は半減までには至らないことを踏まえると、3枚見えでもドラ待ちに分がありそうです。「一発勝負なら打点優先の選択をした方がいい結果になる」とありますが、そもそもテンパイ同士の比較なら打点優先が有利になりやすく、優勝が目的の一発勝負であれば更にその傾向が顕著に表れるということで説明がつきそうです。
は山に残っておらずアガリには至りませんでしたが、もし上家がを通していればこので振り込み。親が流れていました。を早々に切って不要牌になりやすいはずのが、安牌になりやすい2枚切れより優先して残されている。ここに着目すれば親リーチがチートイツの可能性が上がり、相対的にの放銃率が下がるので通せると考えられるかもしれません。
東1局1本場
配牌でとあれば誰しも三元役を考えるところ。にも関わらず対門がをポンして早々にを切っているということはドラを持っていて高打点の可能性が高いということ。そのことを踏まえ、1メンツもない西家はこの段階で打。安牌になりやすい牌を残しつつ降り気味に打ちます。
しかし東家にほぼノーヒントの段階でテンパイが入ってしまったために11600振り込み。福地氏を順位で上回れば優勝できたおかもと氏でしたが、この振り込みで事実上優勝が決まりました。
東2局2本場
ダントツから四暗刻をテンパイしますが、ツモっても優勝には届きません。万一四暗刻タンキになって福地氏から出アガリしたとしても、天鳳ではダブル役満にならないのでその場合はおかもと氏が優勝です。
南3局
就活氏は一つでも上の順位を目指すことを選択。このアガリでおかもと氏がトビ終了。就活氏が総合でも3位に浮上しました。
第九期天鳳名人位は福地氏が戴冠。前節までリードを維持していたものの最終節で逆転があり、最後の半荘まで誰が優勝するか分からない、歴代の天鳳名人戦の中でもかなり熱い勝負を制しました。おめでとうございます。そして出場者の皆様、大変お疲れ様でした。