第一章 手順
(17)私は手牌Aからは落としとします。単純にチートイツ2シャンテン、面子手3シャンテンとシャンテン数だけならチートイツの方が近く、先に面子ができて面子手2シャンテンになった場合も
トイツ落としと比べてそこまで手牌の価値が劣るというわけではないからです。
新たにトイツができるツモは面子ができるツモができるツモに比べれば少ないとはいえ、6種18枚のチートイツドラドラ1シャンテンになる受け入れを見切る方がもったいないのではないでしょうか。
アガリ率を重視するのであれば打が優れていると思いますが、打点を下げてまでシャンテン戻しをすることはないという判断です。面子手とチートイツの分岐点でチートイツを見切るかどうかについては、「もっと勝つための現代麻雀技術論」第47回、第62回で一応の基準を取り上げております。
(18)5ブロック(面子候補十分)、6ブロック(面子候補オーバー)という概念は以前に比べてだいぶ浸透したように見受けられますが、言葉が独り歩きして、何が何でも5ブロックにしようとする人や、逆に5ブロック打法の考え方に懐疑的で、上手ぶって6ブロックに受けがちな人も見受けられます。
面子候補十分に受けるのは、面子候補オーバーに受けても、残した面子候補が面子になった時以外はその面子候補を落としていた方が、「よりよい手」になる場合、逆に言えば、面子候補オーバーに受けるのは、どの面子候補がどのような面子になるかで、「よりよい手」にするために落とすことになる面子候補が変わる場合です。
ややこしいですが、「選べない場合は6ブロックに受ける」とすると、どちらかのペンチャンを落とした方が両方とも残すより他で面子ができた場合に「よりよい手」になる場合も、「ペンチャン同士には差がないから選べないので6ブロックに受ける」という誤解を招くことにもなるのでこのような言い回しになっています。
手牌Bについては、チャンタの4面子1雀頭の候補が揃っているが、チャンタにならない場合はのリャンメンが残る方がよいので、面子候補オーバー維持の打
としますが、チャンタが無いならペンチャン落とします。
手牌C、Dに関しては、序盤ならのみ手良形リーチより、ドラが重なったリャンメン×2の1シャンテンの方が局収支で優れているとみて
残し。中盤以降は
が鳴かれやすく鳴かれたら多くの場合降りることになり、その場合は
を鳴かれただけでも損失が大きい。
を切っていても鳴かれていないとしても、他家が
を持っていないなら重ねるチャンスが十分にある、他家が抱えているのであればその他家も自分が切らないうちは
を切りづらく、他家が切ってくるようならそこで自分も合わせ打てばいいのでそこまで損にならないことを考えると、結果的に
を抱えることの方が多いでしょうか。
ただしこれは局面や点数状況、ルールや打ち手の傾向の影響で判断が変わることも多々あります。本の講座はおそらく一発裏アリで赤ナシのルールを想定していると思われますが、赤アリでしかも祝儀比率の高いルールとなると、役牌ドラの価値自体が相対的に下がるのでを打つことが多くなるでしょう。極めてシンプルな問題でありながら、なかなか結論が出せずにいる問題です。
本記事に関するご紹介

ツキ、流れ、勢いといったあいまいな表現を嫌ってきた著者の明晰な頭脳で、麻雀を論理的に限界まで語りつくされてます。