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ネマタの戦術本レビュー第198回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その5」

ネマタの戦術本レビュー第198回「進化するデジタル麻雀 著:石橋伸洋 その5」

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例題9

 面子候補不足である場合、を残してシャンテンが進む受け入れはが重なったときだけなので1種3枚ですが、を残した場合は3種11枚と、受け入れ枚数だけ見れば大差です。面子や良形面子候補が多くてメンゼンでテンパイしやすく、平和がつきやすい(役牌を重ねるメリットが低い)手牌であれば、役牌よりは端牌を残した方がよいと言えます。

 ただし今回の手牌は少し事情が違います。確かに面子候補不足で、既に2面子あるのでメンゼンでテンパイしやすいですが、にくっつけばタンヤオの面子候補が足りるので、巡目が深くなければを残してもツモは1シャンテンに取らずにを切るところです。引きは残しに分がありますが、を切っていても1シャンテンにはなりくっつきの変化は残ります。それなら役牌の1翻がある(へのくっつきでタンピン、456三色まであるので、を残してツモなら基本は打でしょうか)分、打が有力ではないかと考えます。

 を残してツモでも、場況を見て1シャンテン維持を選ぶこともできるという柔軟性はありますが、を引いた場合に1シャンテン維持が優勢になる場況になり、なおかつそれまでにが出ていくような有効牌を一切引かないというのも稀なので、後々選択肢を残せるという理由で優劣が変化するとも考えにくいです。ただ、選択肢が残せるということ自体は確かにメリットではあるので、序盤で高打点が見込める手牌の場合は、安牌は意識せず目一杯構えるという原則はおさえておきたいところです。

 赤2枚あるので鳴いても3翻の手ですが、面子候補不足で悪形面子候補もない手なので、鳴ける牌が出ても基本スルー。鳴いて3翻あれば大体鳴くというのは面子候補が足りている場合の話。本書では、「強い」「弱い」と表現されていますが、面子候補が足りているかどうかを意識する必要性があることがここでも分かります。

例題10

 を引けばドラを使ったうえでテンパイに取れるので、比較的使いやすいドラではあります。ただしを切ってもメンゼンでテンパイすればリーチで満貫以上になるので、ドラを引っ張る打点的メリットはあまり高くないと言えます。

 浮かせた牌が将来どの程度危険になるのかでも判断は変わりますが、残すことでよりよいテンパイが見込めるが、将来他家に危険になりやすい牌を残すかどうかについては、現状他家のリーチが入っても押し返す手であるかどうかが一つの目安になります。今回は親で満貫以上が見込めるリャンメン×2の1シャンテンなので、他家のリーチが入ってもまだ押し返すところ。その際に浮いているドラが残っているとその分不利になるので、より有利な押し引きのためにも先に切っておくという発想です。

 一方、他家のリーチが入って無スジを引けばすぐ降りるような手であれば、どうせ降りるつもりならドラを浮かせるリスクは低いので、押し返せるだけの手にするためにもドラ重なりの変化を残します。

 余談ですが、今回のようなの形は、テンパイまで残った時にリャンメンかカンを選択できるという点で、のリャンカンのような3枚からなる面子候補としての性質があると言えます。で赤ドラをどこまで残すか判断が変わるケースも考えられるので、この形は必要に応じて3枚からなる面子候補の一種として扱うことにいたします。

本記事に関するご紹介

前著「黒いデジタル麻雀」で概念的に説明された戦術論を具体的な局面に落とし込んで解説しています。41の例題が収録されていますが、それらは決して単なる何切る問題ではなく、何を切り、何を考えておくべきかを問うています。ハイレベルになった現代麻雀において勝ち続けるにはここまで深く考えなければいけないのかと驚かされます。
 
石橋 伸洋 (著)
発売日:2016年10月26日
定価:本体1,490円+税
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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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