第1章 麻雀はやはり、5人の対戦である
配牌からとりあえずアガリを目指し、メンゼンで先制テンパイしたのでとりあえずリーチしてツモアガリ。局の結果がこのようになることは何度となくありますが、この一局に関して言えば、対戦型ゲームにもかかわらず、対戦相手との駆け引きも、心理的な読み合いも一切存在しません。
確かに麻雀はカテゴリーとしては対戦型の卓上ゲームですが、実は一人遊びとしての要素がかなり大きいゲームです。本書では「5人の対戦」と表現されていますが、「4人がそれぞれ1人ゲームをしている」とも言い換えられます。
アガリを目指す段階を「手組」、他家からリーチが入って攻めるか降りるか決める段階を「押し引き」とするなら、「手組」の段階はほとんど1人ゲームと言ってよいでしょう。他の対戦型ゲームもそのような要素が全くないわけではありませんが、麻雀ほど1人ゲームの要素が大きいものは他に類を見ないのではないでしょうか。
従来の麻雀観が、「他者との駆け引き」にばかり注目されてきたのも、他の対戦型ゲームではそれこそが重要だったからではないでしょうか。麻雀のパズル的側面の重要性が明らかになった現代であっても、麻雀の本質を見誤っていると言わざるを得ない見解が見られることは多々あります。しかしながらそのような見解を主張する人が必ずしもゲームが不得手というわけではありません。むしろ、他の対戦型ゲームの名手がこぞってそのような見解を打ち出していたのが、『科学する麻雀』(講談社版)が世に出る前の麻雀界でした。
私自身は「他者との駆け引き」が重要になる対戦型ゲームでは実力者にさっぱり勝てず、『科学する麻雀』が初めて出版された2004年当時、麻雀以外の対戦型ゲームはほぼ引退状態でした。そのような中で『科学する麻雀』を手にして、半信半疑なところがありながらも本の内容をベースに打ち方を変更することで戦績が急上昇していった当時の私は、「麻雀なら実力者にも戦績で上回れるかもしれない」と期待したものです。実際は決してそのようなことはなかったのですが、これを縁として麻雀界との関わりが深まり、10年後の2014年に、「勝つための現代麻雀技術論」を、「おしえて!科学する麻雀」と同じ洋泉社から出版させていただくことになりました。本書との出会いは私にとってまさに、「人生のターニングポイント」であったのです。
本記事に関するご紹介
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これがデータ麻雀の聖典だ!
ツキや流れの「ひらめき麻雀」に終わりを告げた
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福地誠(編)
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