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第8回 ネマタの麻雀徒然草

第8回 ネマタの麻雀徒然草

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ネマタの麻雀徒然草とは
  • 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。

 前回は後付けに関する話でしたが、アリアリに対してナシナシと言えばクイタン、後付け無しを示すように、アガリに関する制限でもう一つ代表的なのはクイタン無しです。

 現在プロ団体の全てがアリアリを採用していますし、ネット麻雀も主流はほぼアリアリでナシアリが僅かに存在する程度、フリー雀荘も四人打ちに関しても大半がアリアリ(関西の三人打ちはナシナシが主流と聞きます)と、表向きに発信されている麻雀界の情報だけだと、ナシナシはかなり少数派のように見えます。

 しかし、関東以外の仲間内のセット麻雀だと、むしろナシナシの方が主流という話も聞きます。私自身、仲間内のセット以外の麻雀経験があまりない、関東以外の地方出身の方は誰しもそのように言っていたことを記憶しています。麻雀界全体の実態が分からないので何とも言えませんが、麻雀人口自体はオンライン麻雀が普及する以前の方がずっと多かったので、潜在的な麻雀人口も含めれば、ナシナシは少数派というわけでもないのかもしれません。

 クイタンについては、一翻縛りが採用される以前から役として認められています。よってクイタン無しの方が後から出来たローカルルールなのですが、一つ気になる事があります。

 それは、役満以外の手役で、鳴いても食い下がりがないものを列挙すると、タンヤオ、役牌、トイトイ、三暗刻、三色同刻、混老頭、小三元。タンヤオ以外は全て手役を構成するメンツが刻子のみであるということです。一方食い下がりがあるのは、三色同順、一通、チャンタ、純チャン、混一色、清一色。いずれも手役を構成するメンツに順子のみであるか、順子を含む場合があるものです。

 この法則に従えば、タンヤオにも食い下がりが適用され、結果的に役無し扱いとする方がルールのうえでは整合性が取れていることになります。実際、手役を構成するメンツが順子のみである1翻役の平和、一盃口と、一盃口の上位役である二盃口はメンゼン限定です。

 実は、現行のリーチ麻雀の前身とされるアルシアール麻雀については、クイタンだけでなく鳴いた平和も手役として認められています(一盃口はそもそも役として不採用、三色もありませんでした。)。では一体何故、リーチ麻雀に移行する際に、タンヤオは鳴きが認められ、平和は認められなかったのでしょうか。

 

こちらによると、クイタンに関してはそのままにしていた方がゲーム性が豊かになると考えられたからのようです。確かに、現代麻雀はリーチとクイタンの精度こそが勝利の鍵を握っていると言っても過言ではないでしょう。こうした歴史背景を踏まえてみると、昔の麻雀は手役作り重視というのは一部の流行に過ぎず、本当の強者は昔から速度を意識した効率重視。麻雀というゲームの本質を見抜いていたように思われます。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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