「麻雀の効果的な上達法」はよく話題になりますが、私は「うまい人の後ろで見る」ことが効果的だと思います。
気になった場面を記録し、その理由を考えるのです。対局後に、本人に直接聞くことができれば最高ですね。もし皆さんのまわりに、いつも勝っている方がいたら、後ろ見することをお勧めします。
なかなか機会を作れない方は、放送対局で、誰かに注目しながら見るのも良いと思います。
もう一つの方法は、「自分が打つところを、うまい人に後ろで見てもらう」ことです。
自分1人で打っていると、明らかなミスをしたときは反省できますが、そもそも知らないことは、自分では永遠に気づけません。
学校の試験であれば、採点で×がつけば「ここの知識が足りなかったな」と明確に分かります。
しかし麻雀では、不利な選択をしても結果オーライのこともあれば、自分の判断に関係なく決着する局もあるので、一見分からないことが多いんですね。
最高位戦日本プロ麻雀協会に入って1年経ったころ、リーグ戦で打っているところを、先輩の神尾亮プロに後ろで見て頂いたことがありました。神尾プロは、昨年「夢をかなえる麻雀ノート」という著書を出版した新進気鋭の選手で、いまは有力選手が集まるB2リーグの3位という好位につけて、注目されています。
すると、わずか1半荘だけで、数え切れないほどの指摘が。。。自分の打牌はもちろん、点数状況の把握、他家の切り順から推測できることなど、気付いていない項目ばかりでした。おそらく自分で打つだけだと、ずっと気付けないか、気付くのに長い時間かかっていたでしょう。
別の機会には、神尾プロと対局しつつ、動画を撮影し、後で見返してリポート形式で教えて頂くこともありました。例えばこのような感じです。
これを何度も読み返すことで、基本的な考え方を少しずつ身につけることができたと感謝しています(周囲に上級者が数多くいて、直接教えて頂く機会が多いことは、競技プロ団体に入る最大のメリットの一つかと思います)。
自分の打牌を後ろから見られるのは、最初は少し恥ずかしいかもしれません。しかし、知らないままでいる方が将来恥ずかしいことも多いので、勇気を持って誰かにお願いしてみましょう。
さて、今日考える「リャンメンカンチャン」は、頻出する基本形ですが、意外と自力では分からない形の一種です。「ネマタの麻雀徒然草」でも、「教わらなければなかなか気付けない受けの筆頭格」と紹介されています。
具体的にみていきましょう。ここから1つ切るなら、何でしょうか。
端のに手がかかりそうですが、受けの広さは、切りの方が断然良いです。
を切ると、
なので、受けはですね。を自分で1枚使っているので、2×4-1で、受けは2種7枚になります。
一方、を切ると
となり、に加えて、を引いても嬉しい形になります。
を引いてを切れば、となるからです。
このような形は、のリャンメン待ちに加えて、のカンチャン待ちもあるので、一般に「リャンメンカンチャン」と呼ばれます。
が増えて、受け入れは3種11枚になります。先ほどは7枚でしたから、11÷7で、1.57倍も違います。1巡だけでなく、このあと毎巡、1.57倍の差があるのは、とても大きな差になります。
この形は、1日麻雀を打っていると、だいたい少なくとも1回は見かけるぐらい頻出しますので、ぜひ丸暗記してください。色々なパターンをご紹介しましょう。
→が受け入れ
→が受け入れ
→が受け入れ
→が受け入れ
→が受け入れ
リャンメンカンチャンを知っていると、次のような場面ですぐに選べます。
6ブロックあるので、2枚あるかかを切りますが、を切るとリャンメンカンチャンの形になりますね。
→の5種15枚でテンパイ
一方、を切ると、
→の4種11枚でテンパイ
となり、受け入れが4枚減ってしまいます。
なお、リャンメンカンチャンをつくるコツは、
のような中ぶくれ形があるとき、ふくれている部分(ここでは)と4つ離れた牌(ここでは)を大切にすることです。
とあれば、次にを引くと
と、リャンメンカンチャンができます。
実のところ、リャンメンカンチャンに関係なく、
孤立牌のがあるときは、の価値があがります。を引けばのリャンカン形ができるからです。
つまり上記の形も、中ぶくれの部分を、のシュンツと孤立牌のとみなせば、自然に「が孤立しているからを持っておこう」と意識できると思います。
同様に、
であれば、一見、離れているは不要ですが、を引けば
のリャンメンカンチャンになるので、を持っていると可能性が広がります。
中ぶくれは、第21回で強い形として紹介しましたが、リャンメンカンチャンの種になるという意味でも貴重なのです。
次回も、覚えておくとよい形をいろいろとご紹介していきます。
※今回登場する神尾プロは、いま話題の、MリーグのEX風林火山オーディションに、チームカラーの赤いシャツで臨み、注目を集めていました。自ら自分にインタビューした記事がたいへん興味深いので、ぜひご覧ください。