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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第59回 丁寧に安全牌を残そう

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第59回 丁寧に安全牌を残そう

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「安全牌」と聞いてまず思い浮かべるのは、[西][北]ですが、当然、これらで放銃することもあります。

Mリーグでは、サクラナイツの内川幸太郎プロが、[西]で雷電の黒沢咲プロの四暗刻単騎に振り込んだシーンが有名です(2020年2月25日第2試合南4局2本場)。

4月25日まで、東京・秋葉原で「M.LEAUGE POP UP STORE」というイベントが開かれていますが、この時の「伝説の[西]」が展示されているそうです。

3月31日に、久しぶりに開かれたMリーグのパブリックビューイング「プレミアムナイト」を取材していたところ、内川プロが[西]を切るたびに実況の日吉辰哉プロが盛り上げ、客席がわいていたのが印象的でした。

実のところ、内川プロは、[西]を安全だと考えて切ったわけではありません。各チームの得点状況なども考え、放銃の可能性があるのは承知で、総合的に判断して切っているんですね。

このように、何が「安全牌」かは、その時の状況で異なります。例えば、他家3人が全員[⑤]を切っていたら、[赤⑤]は堂々の絶対安全牌になります。

され今回は、安全牌を巡る細やかな比較についてご紹介しましょう。
「この局は安全牌を持って引き気味に進めよう」という思考は、おおざっぱな方向性の判断ですが、具体的にどの牌を残すかは、一巡一巡、ミクロな判断です。

最初に、「麻雀の匠」で、醍醐大選手の第5回をご覧ください。

親の醍醐選手の第1ツモ後の手は

[三][九][九][③][⑤][⑨][2][赤5][7][8][白][発][南][北]

5シャンテンで、醍醐プロが言うように「ボロボロ」の手牌。
牌効率だけを考えると、字牌のどれかを切るのですが、醍醐プロの第一打は[⑨]
[⑨]を切ると、[⑦][⑧][⑨]引きはロスになりますが、いずれにせよリャンメンターツはできません。
であれば、誰かに先制されるだろうから、安全度の高い字牌を残しておこう、という思考です。大切なバランス感覚ですね。

注目いただきたいのは、二打目の[南]です。
一見、[南][北]のどちらを切っても良さそうですが、西家が最初に[北]を切っています。
この瞬間に、[南]より[北]の方が安全になっているんですね。
西家がリーチしてきたら[北]は現物ですし、[北]は残り2枚なので、南家や北家が持っている可能性も下がります。
ということで、より安全な[北]を残します。

さらに次巡。
[東]をポンした西家が、[北][⑧][6]を切っていることに着目し、マンズのホンイツの可能性も見て、醍醐プロは[白]切り。これは、安全牌を残すというよりは「将来の危険牌を先に逃がす」発想ですね。ここで[白]をポンされると、東・白・ホンイツで満貫の恐れがあります。手を進めさせてしまうリスクもありますが、もしそうなれば、西家を最大限警戒すれば良いので、対応の方針が立てやすくなる、ともいえます。

この局は、他家3人が全員テンパイするピンチになりますが、最初から引き気味に打っていたこともあり、醍醐プロは「(他家の切った牌に合わせておけばいいので)気が楽」と余裕で、放銃は回避しました。

次に強調したいことは、「親の現物は常に意識しよう」ということです。
一見遅そうな親が突然リーチしてきて、何も安全牌がなく、仕方なく一番安全そうなのを切ったら満貫に放銃、この12000点を取り戻せずそのままラスにー-。よくある負けパターンですね。

そのため、「今親がリーチしてきたら対応できるか?」は、常に意識しておくことをおすすめします。
例えば3巡目で、[一][九]切りで迷ったとしましょう。自分の打点やスピードは、どちらを切っても差はない状態ですが、親の河に[一]があります。

であれば、親の現物[一]を残し、[九]切りの一手です。
KONAMI麻雀格闘倶楽部佐々木寿人プロが、ツイッターで「麻雀とは結局のところ、心の準備です。親の現物を残すのだって準備の一つです」と強調しているように、実力者は常に親の河を綿密に見ています。


もう一点は、「もっとも早そうな他家への対応を意識する」ことです。
巡目が進むと、他家3人のスピードが見えてくることが多いですね。
「最初は一九字牌切りでその後中張牌を複数切る」「序盤にドラを切る」「ターツやトイツを早めに切る」などは、重要なサインです。

一番早そうな人からリーチがかかることが多いので、それに備える意識も大切です。
もっとも、一見遅そうな人が突然リーチをかけてきて、「え、そっち?」となるケースもありますが…。

また、先制を受けてオリている際に、安全牌が複数あるときは、「他家にも安全な牌」を手元に残します。
他家も後で追いかけリーチなどをしてくる可能性があるためです。

例えば、次のような状況を考えましょう。

リーチ者の河
[南][白][八][三][④] リーチ

別の他家の河
[北][南][1][9][八]

自分がオリることを決め、手には、[南][三]があります。
リーチ者に対しては、どちらも現物ですね。
しかしここで切るのは、[三]です。

[南]を先に切ると、別の他家が追いかけリーチしてきたときに、安全牌がなくなってしまうためですね。
[南]を残しておけば、一巡しのぐことができます。

2人リーチの場合は、一巡まわる間に安全牌が増えることも多いですし、リーチ者同士で放銃するケースもあるので、「一巡しのげるか」は極めて重要です。

これらのミクロな選択は地味なため、放送対局などで注目を集めることは少ないですが、毎巡の地道な思考の積み重ねが大きな成績の差につながります。

インターネットの麻雀では牌譜を見られますので、機会を見つけて、一巡ごとに「本当にこれを切るのが最善だったのか?もっとよい手はなかったか」と振り返るのも上達へ道だと思います。

次回は「一色手への対応」をご紹介します。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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