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ネマタの戦術本レビュー第249回 「フリー雀荘で得するのはどっち!? 著:石井一馬その20」

ネマタの戦術本レビュー第249回 「フリー雀荘で得するのはどっち!? 著:石井一馬その20」

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テーマ24

 第235回で取り上げましたが、5000点相当のチップが素点にして約1500点というのは東南戦のウマ1−3の東1局を想定しています。素点は着順に反映されますが、祝儀は着順に反映されないので、基本的にチップの価値は額面ほどではなく、アガリが最終的な着順に与える影響が大きい局面ほど、チップの価値は更に低くなります。

 これがオーラスのダンラスといった、着順変化がほぼ期待できない局面であれば、チップ1枚の価値は額面通りの5000点と考えて差し支えありません。つまりオーラスでダンラスの場合は、滅多に出来ない逆転手を狙うよりは、祝儀込みでこの1局の収支期待値が最もよくなるように打つ方がよいと言えます。

 本書では「東1局と同じように打つ」とありますが、チップの価値が違うので判断が変わるケースも出てきます。例えばp56のような赤2枚の3メンチャンテンパイは、東1局ならアガリ牌が出たら見逃さずに倒しますが、ダンラスなら巡目に余裕があるうちは見逃して祝儀3倍になるツモアガリを目指します。他に、赤が無い手で他家からのリーチが入った場合は、東1よりもむしろダンラスの方が降り寄りになると言えます。

 ラス確は嫌われると言いますが、麻雀打ちに限らず多くの人は、嫌いな相手を嫌うための理由付けとして相手の行為や態度を槍玉に上げ、嫌いでない相手であれば例え同じ行為であってもある程度は許容しようとするものです。ゲームの中では、全員が自分の価値を最大限に目指すために全力を尽くせる環境が望ましいと私は思いますが、そこは人あってのことであり、「自分が損しても特定他家が損になるように打つ」ことが可能な麻雀というゲームの性質上、ゲームの外では嫌われないように振る舞うことに越したことはありません。

テーマ25

 本場については、自分のアガリ点と他家のアガリ点にそれぞれ加えたうえで押し引き判断をしていただければ結構です。元々安手であるほど相対的に打点が大きく上昇するので、安手でもアガリやすい手ほど押し寄り、高い手でもアガリにくい手ほど降り寄りになります。

 本場が多くなるとその分逆転率も高くなるので、本書で言及されている通り、アガられても自分の着順にあまり影響しない他家へのアシストが重要になると言えますが、そのような局面で、なおかつ「0本場、あるいは本場が小さいルールならアシストしない方がよい」という結論になるケースはあまりないので、元々アシストを意識している人にとっては、判断基準を変えるほどではないと思います。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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