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ネマタの戦術本レビュー第235回 「フリー雀荘で得するのはどっち!? 著:石井一馬その6」

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テーマ9

チップの価値 2 - 現代麻雀理論

 チップの価値については、こちらの研究を参照させていただきました。 第233回で、5000点相当のチップが素点にして約1500点としましたが、これは平場の東南戦のウマ1-3という、最も主流と思われるルールを想定しています。

 東風戦であれば、東南戦の南場とみなしてチップの価値を見積もればよいでしょう。ウマ2-5の場合は着順の価値が更に大きくなるので、チップの価値も若干下がることが予想されます。

 問題の手牌は2シャンテン。面子が出来て1シャンテンになった場合、祝儀無しのルールなら、鳴ける牌が出てテンパイに取る分岐点は9〜12巡目(平和がつくかどうか、二度受けが残るかどうかで若干変動)というところ。平和がつく形になることが多いので平均して11巡目程度でしょうか。2シャンテンならスルーしても手が進むツモが多いのでそこまで焦って鳴くこともないですが、少なくとも1シャンテン→テンパイよりは早めに鳴くことになりそうです。「現麻本」では、1シャンテンの場合に比べて3巡ほど鳴きを早めるのを1つの目安としました。よって8巡目あたりが分岐点と考えます。

 鳴いて赤1の手でアガった場合のチップの期待値は1.5枚(リーチより出アガリが多いのでアガリ時ツモ率33%と仮定)、赤1でリーチした場合は一発裏込み、アガリ時ツモ率40%として約2.6枚。東風戦ウマ2-5の祝儀10000点相当の平場なら、チップ1枚の価値は3000点よりは低くなると予想されますが、チップ込みの打点はメンゼンでも鳴いた場合の2.5倍程度。それなら祝儀無しの赤2枚の手で鳴くかどうかという判断に近い(1シャンテンになった場合は7〜8巡目が分岐点)ので、5巡目が鳴きの分岐点という本書の見解は妥当なところとみます。

 少なくとも鳴き祝儀有りの方が祝儀無しよりは鳴く巡目が早くなるので、東南戦ウマ1-3については本書の基準はやや遅いとみます。東風戦の方が早い展開になることは確かですが、「東風戦なら鳴く、東南戦なら鳴かない」という牌姿になることよりは、「どちらでも鳴く」「どちらでも鳴かない」牌姿になることの方が多いですし、相手が早アガリを目指している傾向があるなら、東南戦であっても基準よりは実際の局面に合わせて鳴くかどうかの判断をすべきです。よって私は「東風か東南かではさほど判断を変えない、ただし判断基準よりも現前の局面に応じて判断すべし。」というスタンスを取ります。

祝儀のための見逃しをすべきか

 チップの価値が1枚1500点相当なら、問題の牌姿は、6900点相当のアガリと、ツモれば12900点の3メンチャンテンパイとの比較。打点が2倍相当にもならないのであれば、アガった方がよいでしょう。

 これがダンラスのような着順変動がほぼ期待できない状況であれば、ツモアガリの実質的打点が3倍に近くなります。6巡目先制3メンチャンテンパイなら流局までツモることができるなら50%以上はツモあがれますし、一度見逃しても次巡以降相手の動向によっては出アガリを選ぶこともできるので、アガリ逃しが着順にほぼ影響しないケースなら見逃してなるべくツモアガリを目指すことを推奨します。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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