第1章No.2
悪形残りの1シャンテンにもかかわらず、案外早い巡目から手変わり牌より安牌を抱えた方がよいという結論は個人的にも意外でした。
ただし今回は、①良形変化のみで打点上昇変化が無い ②手変わり牌が他家全員にとって両無スジ456 ③場況的にペンが待ちとして悪くない ことが前提になっています。
つまり、①手変わりが単なる浮き牌5を残すより強い ②手変わり牌が誰かには通りやすい ③悪形メンツ候補の受けが場に多く切られてアガリにくい のであればこれよりは手変わり待ちに分があることになります。実戦では①②③の少なくとも1つは満たしていることが多いのではないでしょうか。
AとB(今回であれば安牌残しと良形変化)をデータに基づいて比較してA有利という結果が出て、実力者間でも結果に違和感を覚える人が多かったセオリーはこれまでも数多くありました。これについては、「前提条件からは確かにA有利と言えるが、実戦で前提条件以外に考慮すべき要素にはむしろB有利に傾くものが多い」で説明がつくのではないでしょうか。
もちろん局収支上大差がつくものに関しては、「それでもA有利」と判断すべきです。今回は悪形残りということもあり、シャンポン受けがある1シャンテンに取れるなら良形変化残しや安牌残しの1シャンテンよりはっきり有利という結論になりました。ここまで差がつくようであれば、「そもそもセオリーを適用できる局面ではない」ことを具体的に示せない限りはシャンポン受けを残すべきでしょう。
しかし、今回の手変わりと安牌の比較のように、現状でも明確な答えを出しにくい問題については、局収支上も微差であることが多いものです。微差のケースほど実戦では、「打牌判断を切り替えるとしたらどのような場合か」に着目するようにしましょう。
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