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ネマタの戦術本レビュー第525回「片山まさゆきの楽勝麻雀 著:片山まさゆき  その5」

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Q7

 打

 序盤にリーチがかかり、安牌が十分にあれば降りる手にもかかわらず安牌が少ないということは実戦でもよくあります。このような場合にどうすべきかどうかは意見の分かれるところです。

 私としてはまず、「真っ直ぐ押した場合に、もう1手進んだ場合に(安牌が十分にあっても)押せるかどうか」を考えます。今回は打とした場合、最も手牌がよくなるのはツモですが、これでも悪形残りでリャンカンが埋まってもメンピンドラ1、テンパイ時にかドラかが出ていく手なので安牌が十分にあるならを押すのはやや厳しいです。よってどちらかと言えば、安牌が少ないなりに降りることを考えます。

 完全に降りるつもりであれば唯一の現物ですが、今度は、「現物が無くなったら何を切るか」を考えます。今回であれば上家がを通したのでは両スジ。当たるとすればからの切りくらいなのでスジの中でも比較的通りやすい牌とみます。

 ここで、切りでメンツを中抜きしても次巡安牌が増えなければを切るのだから、先にから切ってメンツはまだ崩さずに残す手はないかと考えます。を切ってツモなら、今度は打として、次のツモによって平和ドラ3の完全1シャンテンや、メンピンドラドラ高め一通のリャンメン×2の1シャンテンといった、安牌が十分にあっても押せるだけの1シャンテン、後々通る牌次第で更に押せるケースが増える可能性もあります。

 仮にが当たり牌だったとしても、それは最初に打としても(一発は回避できますが)他に安牌ができなければ結局放銃することになるのですから、ここは一旦打としてみるのが面白いのではないでしょうか。

 序盤でほとんど情報のない河でリーチが入った場合、無スジを切っても案外当たらないものです。本書にある通り通っていないスジも多く、悪形待ちの可能性もあるからです。「相手からリーチが入ってノーテンなら基本オリ」という押し引きの基礎から麻雀を学ばれた方や、相手からリーチが入ると怖いという気持ちが先立ってしまう方は、怖いと感じたらむしろ押してみるくらいのつもりで打った方がよいかもしれません。何故なら、押し引きや降り方の基礎が身に付いている段階であれば、「怖い」と感じるのはむしろ自分の手も押すだけの価値のある手になっていることが多いからです。「怖い」ではなく、あくまで「割に合わない」と判断したら降りるように、降りるとしてもただベタオリする以外の選択がないかを考えるようにしたいですね。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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