梶本プロの主な仕事内容とは?
「主な対局番組解説は『MONDO TV麻雀プロリーグ』『麻雀最強戦』『夕刊フジ杯』他。しゃべりっぱなしで1日が終わることもよくあります。普段は千葉県いすみ市にある麻雀博物館で館長をやっています。現在一時閉館していますが、貴重な資料が保存されているので管理体制を維持してるんです。他には近代麻雀誌上で原稿執筆、単行本制作、オンラインサロンの運営、あっ、雀荘も始めます。竹書房の近くでセット専門店です」
麻雀オンラインサロンとは?
「オンラインサロンとは、端的に言えばネット上の個人サークル。その中では、ファンの方達と直接情報交換をしています。麻雀に限らず、自分が困ったことも結構書き込んでいます。たとえばこんな麻雀グッズを作りたいんだけどなんて書き込む。そうすると、様々な職種の方がいるので斬新な意見を知ることができ、とても参考になります。最近では、オフ会の依頼も頂けるようになり、大阪、東京、北海道など全国各地で開催しています。12月の山形では、地元の人が芋煮を振舞ってくださるそうです。麻雀を通じて知り合った方達と一緒にいろんなことをやるのは、コミュニケーションの場としてホント楽しいですね。ネットでもリアルでも人と人とがつながったからこそ、何か形にできるんだなという実感があります」
新しいことにチャレンジする原動力とは?
「これ使えるなと思ったら、とりあえず試してみる。竹書房のニコ生番組『梶やんチャンネル』も好奇心から始まりました。この番組がきっかけで、ニコニコ超会議で麻雀ブースを出すまでに発展しました。また人知れず『車載』という番組も配信しています。この番組は、ダッシュボードにiPadを置いて生中継しながらただひたすらしゃべるという内容。新しいことに敏感なので、まさに思いついたら吉日です」
「振り返ってみるとSNS環境も麻雀きっかけで発展しています。フェイスブックはヨーロッパで開催された麻雀大会でフランス人に勧められて始めました。ツイッターも麻雀プロの中では早くから始めていたほうだと思います。麻雀番組を配信するユーチューバーにもなりたかったんです。実際、七対子攻略講座だけでも40講座ほどアップしています。『何切る?』も英語の電子書籍版も作りました。労力の割には売れませんでしたが…」
これからこの業界を目指す人へ
「新しいことにチャレンジし続ける。自分の知らないこと、人がやっていないことをまずはやってみる。私の場合、団体に所属しているわけでもなく、1人でやっているので失敗したっていいじゃないですか。やってみて面白かったら続けたらいいし、うまくいかなかったら、次を考えたらいい。とにかくやってみることに意義がある。ニュース番組を見ていて新しい事業や試みを知ると、それを麻雀に落とし込んでやってみる。最近試した新しいものは特殊カメラ。麻雀プロの目線はどこを見ているのか。その目線を追える特殊なカメラを購入して撮影してみたら、酔いそうなぐらい画面が揺れてしまい、見せられるものではなかった。けっこう高価なカメラだったんですが…」
梶本さんにとって麻雀とは?
「仕事ですね。単純に。この世界で生きているわけですから。仕事を楽しむために稼ぐためにという観点でアンテナを伸ばしているんだと思います。なんか面白いことないかなと。以前は単に打つためのものという視点しかなかったので、麻雀とは、人生を狂わす悪魔のゲームですなんて肩肘張っていた時期もありました」
座右の銘は?
「『雨もよし風もまたよし』。トラブルがあってもいいじゃない。いいときばっかりじゃないんだよ。竹書房を設立し、波乱万丈の人生を送った野口恭一郎会長の言葉なんです。世界麻雀選手権(2002年)の開催、麻雀博物館の創立も野口会長の発案。麻雀プロの存在を世に知らしめようと尽力してくださり、私にとっても麻雀業界にとっても恩人です。野口会長から教わった迅速な行動力は、今の自分を支えている気がします」
インタビューを終えて
解説で心がけていること。出場選手の呼び方。蝶ネクタイの由来。「とにかくやってみることに意義がある。失敗したっていいじゃないですか」。素直な感性があるからこそ許容力が生まれ、この言葉に結びつく。梶本プロが切り開くトライ&エラー。とどまることのない挑戦によって、麻雀業界の仕事も無限に広がり続けていく。
文責:福山純生(雀聖アワー) 写真:河下太郎(麻雀ウオッチ)
◎梶本琢程オフィシャルブログ『takuteiのほぼ麻雀』
http://ameblo.jp/takutei/
◎梶本琢程公式ツイッター
https://twitter.com/takutei
◎梶やんの麻雀サロン
https://synapse.am/contents/monthly/kajiyan
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あらゆる挑戦は、すべて〝妄想〟から始まる - 第2回 株式会社F・R・C代表取締役 香宗我部真
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好きなことを仕事にしようと考えるより、自分の仕事を好きになる努力するほうがいい - 第4回 フリーアナウンサー 土屋和彦
しゃべるのが仕事。しゃべることを取材することも仕事 - 第5回 株式会社セガ・インタラクティブ セガNET麻雀MJディレクター 高畑大輔
「マージャンのおかげでキレなくなりました(笑)」 - 第6回 RTD株式会社 代表取締役 張敏賢
「目指すは、新しいマージャン文化の創造」 - 第7回 漫画家 片山まさゆき
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「希望が持てる業界を構築し、麻雀で社会を変えたい」 - 第11回 《More》プロデューサー 菊池伸城
「躊躇なく一気にやることで、世界は開ける」 - 第12回 麻雀キャスター 小林未沙
「想像力をどれだけ膨らませられるかが勝負です」 - 第13回 麻雀評論家 梶本琢程
「面白かったら続けたらいい。うまくいかなかったら次を考えたらいい」 - 第14回 麻雀AI開発者 水上直紀
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