完全有料オンライン麻雀ゲーム『Maru-Jan』は2004年にスタートした。実は『FAINAL FANTASY(ファイナルファンタジー)』をはじめ、10年以上継続しているオンラインゲームは、数えるほどしか存在していない。そのほとんどは2~3年、短いものだと半年で終了という新陳代謝の激しい業界なのだ。そんな中で『Maru-Jan』は年々会員数を伸ばし、2017年には100万人を突破している。多くの麻雀ファンに愛され続けている理由はなんなのか? 株式会社シグナルトーク代表取締役、栢孝文さんにその秘訣と仕事論を聞いた。
栢孝文(かや・たかふみ)プロフィール
1975年、大阪府生まれ。水瓶座、A型。大阪市立大学工学部大学院情報工学卒。株式会社シグナルトーク代表取締役。
『Maru-Jan』開発のきっかけは?
「麻雀の“弱点”を補えるようなサービスを作っていきたいと願い、スタートしました。弱点とは大きくふたつ。ギャンブルイメージからの脱却、そしてリアルで行うときに人が揃いにくいことを解消することです。これまで14年間、麻雀は賭けなくて面白いんだということを追求し続けてきた結果、100万人以上の方に伝わったんだと嬉しく思っています」
特筆すべきところは?
「年配の方でもわかりやすく、使いやすい仕組み作りは意識しています。実際、IT系のサービスはわかりにくいものが多く、生業にしている私でも使いにくいものはいっぱいあります。スムーズに出来ない要因は、設計が悪いことと、様々な状況下における使用状況をチェックしていないことがあげられます。リアルで見やすいゲーム画面をはじめ、私たちはあらゆる角度から品質管理を徹底し、いつでもどこでもスムーズに利用できるよう、Maru-Janだけでも50種以上の機種やバージョンに対する確認作業を毎日行っています。動くことが当たり前と思われている電車を、毎晩整備点検している人たちと近い作業かもしれません」
利用者の年齢層は?
「メイン層の50~60代以上に加え、最近は20~30代も増え、2極化してきています。30~40代は少ないんですが、仕事が忙しい世代なので健全な傾向なのかと(笑)」
今後のビジョンは?
「“正しい力”を身につけ、利益を生み出すシステムモデルを確立していくことです。正直、麻雀界は儲からない業界です。利益を出すことはとても大事なことで、ある程度資金がないと、賞金1000万の大会開催をはじめ、MONDO TVやAbemaTVでCM展開をしたり、週刊少年マガジンや週刊漫画ゴラクとのタイアップ広告等を展開することもできません。広く周知していくことで、麻雀覚えてみようかなと思う人もいるわけで、そういった“正しい力”を身につけるためには、利益を生み出すシステムモデルを構築していく必要があるわけです」
「したがって、年間100回以上麻雀を楽しんでいる少ない層を奪い合うより、年に1回しか麻雀をしない人が年に2回麻雀するにはどうしたらいいのかという発想でビジネスを展開をしていく必要があります。だからこそ業界内ではなく、業界外にもっともっと目線を向けることが大切だと感じています」
Maru-Jan以外に取り組んでいることとは?
「ヘルスケアに取組むことを目的として、ウェルネスオープンリビングラボという合同会社を共同設立し、大阪市立大学と認知症などの健康科学関連の課題解決を目標とした健康寿命延命に関する包括連携協定を締結しました。現在、16社が集まっています(2018年3月現在)。シグナルトークについては、Maru-Jan利用者から得られる健康維持に必要なデータを収集分析し、認知症やうつ病の予防等、脳にまつわる問題に関して、麻雀が貢献する部分を模索する研究を目指します。明確なデータを生活環境や食生活にリンクさせ、包括的なヘルスケアに役立てていければ、麻雀と健康の関連性に社会的な意義を生み出すことも可能だと思っています」
週休3日、副業可等、自由な勤務制度を採用している理由は?
「クリエイターにとって理想郷となる職場を目指しているためです。サラリーマン時代に経験した、面白いと思ったことをすぐに始められない組織の壁であったり、自分が起業したときに、様々な方に助けて頂いた経験から、そういった発想が生まれました。副業可としているので、他のゲーム会社の仕事をしている人もいるぐらいです。実際、効率も上がり売り上げも伸びています」
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