- 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第八期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第一節三回戦B卓
トップ目とはいえ打点だけでなく、アガリやすさの面でもツモをみてドラを残しそうなものですが、場を安くする(他家視点からみてドラが使いづらくなるので、結果的に他家のアガリ点が下がることが期待できる)効果を狙ってか1巡目からドラ切り。「最速最安」こと小林プロらしい一打です。
そのを福地氏がポン。チートイツ2シャンテンが3シャンテンになる仕掛け。いきなりドラから切っているトップ目に圧力をかけたい、トイトイだけでなく役牌重なりもあるという理由からでしょうか。チートイツは受け入れが狭いとはいえ最序盤で2シャンテンなら先制テンパイもそれなりに期待でき、そのうえでアガった時に高打点が保証されているなら他家に警戒されにくい方がアガリやすさで勝るのでどちらかと言えばスルーしてそうです。
この仕掛けに対して即をツモ切り。自分の手はタンヤオのターツが揃っているのではほぼ不要牌。役牌トイツが無くてもドラならポンする手組のパターンも多いので重ねられる前に先切りというところでしょうか。役牌がトイツ以上であるなら迷わずポンする打ち手が多いので、ポンの段階で逡巡があればなおのことを切った方がよいことになります。他家に手牌構成を読まれにくくするためにも、鳴く牌が出る前に鳴くかどうかは決めておきたいものです。
がコーツになればトイトイもつきますが、が重なっても役がつきます。を見せない方がを絞られづらいこともあり打としそうです。
は残り1枚ですがをポンして満貫のテンパイ。
がカンドラ表示牌に見えたので役牌アンコの可能性が無くなり、トイトイだとしても待ち候補は絞りやすい。待ち候補が絞りやすい仕掛けに対しては手詰まりする恐れがないので、手牌を短くしてでもかわしにいけます。
カンをチーしてカン待ち。形に抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、オリている他家からの出アガリも期待しやすい待ちです。額面こそ2000点ですが、着順争いをしている南家の満貫を阻止する値千金のアガリとなりました。