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ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討  第165回

ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討 第165回

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ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討とは
  • 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第八期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。

最終節二回戦

▼対局者
石橋伸洋
ASAPIN
多井隆晴
小林剛

牌譜はこちら

字牌切りでを雀頭で残せばツモでもテンパイしますが、は残り1枚につきツモでテンパイに取るメリットは薄い。将来の守備力も踏まえて雀頭を崩すのが有力そうです。

親からも仕掛けが入り巡目が深いこともあって一旦を止めます。かはほぼ指運。どちらかと言えば親の現物でを残しそうですが、それは他家にとっても同じなので、の方が山に残っている可能性が僅かに高いと読める局面もあるかもしれません(南家は序盤国士狙いだったため、今回についてはの方が残っていたのは結果論でしかなさそうですが。)。

結果的に絞りが裏目に出て放銃。を残せていれば、逆に北家から7700をアガれていたかもしれません。

チートイツ2シャンテン。メンツ手は0メンツの3シャンテン。はクイタンを狙うとなると片アガリの形が残ります。1メンツでもある手なら、メンゼンで良形テンパイが残る受けを残すに越したことはないとみて辺りを切るところですが、0メンツならメンゼンテンパイする前に鳴く牌が出ることがずっと多いのでから外していきます。

4枚見えでノーチャンスになったこともあり、トップ目の西家からが出て7700のアガリ。外しから2つポンが入ったとなると南家はトイツ手絡みとみて、シャンポン待ちをケアして打とする選択もあったかもしれません。

オーラス出上がり3900条件。東のみは南家北家からの出アガリで逆転できないのでホンイツ狙い。

しかし次巡裏目のを引いたところで何と打。自分でを切っているのではチーしやすく、チーできればカンに受けることでツモれば符ハネ。700は900オール、供託と合わせて4600点差がつくのでトップを逆転できます。ツモはホンイツテンパイを逃しますが、そこから落としでテンパイ復帰が十分狙え、テンパイした時は先きりで待ちが絞りづらくなります。

一方ここでを落とし、リャンメン落としからメンツがかぶったところを他家に見せれば、マンズもも他家から出ることは期待しづらい。それならここでを外した方がむしろトップを狙いやすいという意図でしょうか。優劣はともかく、裏目が裏目とは限らないということを意識させられる一打です。

トップ目で鳴き三色をテンパイしますが、は北家にも東家にも押しづらい。自分でアガらないと逆転される可能性も十分ありますが、放銃でラス落ちまである以上ここは止めるところ。

南家は放銃せずともラス落ちの可能性があり、アガればトップの可能性もあるのでリーチ…としますが、カンは残り1枚のうえ自分が切っているフリテン。相手のリーチや仕掛けに回し打ちからテンパイした時に起こりがち、時間制限があるオンライン麻雀ならではのミス。大舞台の勝負所でも起こってしまうのが怖いところです。

裏ドラは乗らず前局に引き続きASAPIN天鳳位が連続トップ。これで優勝の可能性がかなり高まりましたが、当然次戦以降はマークが厳しくなるのでまだまだ予断を許しません。次回に続きます。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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