- 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第九期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第二節一回戦A卓
東1局
渋川プロくっつき1シャンテン。を切っていますがそれでもソーズ4連形は強い浮き牌。よりを残した方がリャンメン以外でも強い待ちが残りやすいので打。ツモからフリテン3メンチャンでリーチして引き戻しの3900オール。基本手筋とはいえフリテン受けを必要以上に嫌わないことの重要性が分かります。
お知らせ氏ここからポンでトイトイ1シャンテン。メンツ手チートイツともに1シャンテンなのでスルーした方がテンパイするツモが多く、以外はツモって満貫の手になるのでどちらかといえばスルーしそうですが、残った対子が仕掛けやすいというのもありそうです。
東1局1本場
上家からリーチが入り、テンパイするも一通崩れの。親で安牌無しなら打で追っかけリーチもやむなしとみましたが、通れば次巡も凌げ、あわよくばの567三色もみる打。優劣を評価するのは難しいですが、押し引きといっても押すか引くかのニ極とは限らないことを示す一例。前局の3900オールが無くフラットな状態ならどうしていたのか気になります。
東4局2本場
お知らせ氏の手牌。カンテンパイからトイトイに受けられるをツモりましたがを切りません。これが見事に下家タケオしゃんの当たり牌。タケオしゃんが比較的先切りを多用する打ち手という情報が無くても、クイタン仕掛けで全色の3〜7牌が切られ、最終手出しがとなれば直前の手出しのまたぎは警戒してしかるべきところ。私はどうしてもを切りたくなりますが、下家の仕掛けがテンパイなら待ちはどこかと考えると、確かに結構当たり牌が絞られていて、も安易に切れない牌だということが分かります。
小林プロもを止めてテンパイ取らず。3枚見えといっても、タケオしゃんの手出しはとの振り替えに他ならず、ここまで来ればは大本命。待ちが絞れている時は形から通りやすいという読みでなく、当たりうることを読む必要性があることを知らされます。
南1局5本場
このチーは驚かされました。確かにドラなので鳴いても打点が下がりづらく、序盤でいきなりを切っている以上、上家はマンズかピンズを相当固めているのでソーズ染めが成就しやすいのですがなかなか選べない一手です。
3フーロして2シャンテン! しかしそれが分かるのは仕掛けた当人だけ。上家はドラ暗刻の1シャンテンとはいえ、この仕掛けには止めざるを得ません。今月の近代麻雀「3フーロリーチ打法」を思わせる展開です。
ここから3900オールに仕上がり決定打となりました。結果自体は出来過ぎですが、上家とは僅差の着順争いをしているが故に、手牌を短くするリスクが低いことも踏まえたうえでの決断が功を奏した形となりました。