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ネマタの戦術本レビュー第603回「多井熱 著:多井隆晴  その6」

ネマタの戦術本レビュー第603回「多井熱 著:多井隆晴 その6」

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 麻雀は運要素の強いゲームですが、運要素が強いからこそ、人間が正しく評価することが難しいゲームでもあります。私自身は、プロがファンに媚びるだけになるのも問題なので、専門家としての内部評価自体は必要だと思っています。ただ、麻雀というゲームの性質故、専門家の経験則に基づいた評価に誤りがあったというのが実情ではないでしょうか。

 一発裏ドラは運要素なので、無くせば運要素が減るというのは間違いありません。しかし、運要素を少なくすることは必ずしも実力差が出やすいルールになることを保証しません。

 例えば、3×3の升目に一列並べた方が勝ちになる◯×ゲーム。実際に遊ばれた経験がある方ならお分かりいただけると思いますが、互いに最善を尽くせば必ず引き分けになり、最善を尽くすことも極めて簡単です。よって、運要素は一切ありませんが、引き分けにする手順さえ互いに知っていれば実力差は全く出ません。

 実力者が必ずしも人気が出るとは限りませんが、一般ファンの視点からでも実力評価がはっきりする競技であれば、結果を出している実力者ほど人気が出る傾向があり、飛び抜けて強いプレイヤーが出現すれば業界全体の人気を底上げすることにもなるのは間違いありません。実力評価が明確になるシステム、実力差が出やすいルール作りにもっと力を割くべきではないでしょうか。

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 「麻雀は運か実力か」という話は度々話題に上りますが、結論から言えば、抽選は100%運、選択は100%実力です。よって、選択を説明するための「しゃべり」が対局結果そのものよりブレが少ないのも当然です。一般ファンにプロとしての実力を示すためには、選択を説明するための解説力が必要であることも間違いないでしょう。

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 雀荘メンバーは未だに「メンバー制約」という名の下に不利な勝負をさせられることが珍しくないと聞きますが、勝つために互いが最善を尽くすことこそ礼儀であり、ゲームを楽しむためにも必要であるという価値観が浸透していないのは、メンバーだけでなく客にとっても望ましくないことではないでしょうか。他家に安手でアガられたり、モロヒッカケリーチをされるだけで不快になる打ち手が心から麻雀を面白いと思っているとは私には思えません。

 将棋でも一昔前は、「待ち駒は卑怯」という価値観がありましたが、卑怯ではなく立派な作戦であるということをプロ自身が訴えてきた結果今ではほとんど聞かなくなりました。どんな分野でもプロは競技者としてだけでなく、サービス業としての側面があることは確かです。しかし、サービス業としての心構えは必要だが、あくまで勝負には持ち込まないという価値観は視聴者にもっと訴えかけるべきだと思います。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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