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ネマタの戦術本レビュー第801回「相手に対応させる技術 著:平澤元気 その11」

ネマタの戦術本レビュー第801回「相手に対応させる技術 著:平澤元気 その11」

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ネマタの戦術本レビューとは
  • 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
  • ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
  • 第1回から読みたい方は、目次からご覧ください!

第1章 セオリー11

 不確定要素を伴う対人ゲームは、多かれ少なかれ対人読みの要素があります。例えばじゃんけんであれば、勝率を高めるために考慮すべき要素は(遅出しなどのルール違反をしない前提なら)、対人読みが全てと言ってもよいでしょう。ところが麻雀は人との勝負というよりは、むしろツモ山との勝負。対人読みの比率は、他の対人ゲームに比べればかなり低い部類です。こういった麻雀の特殊性が、「麻雀の本質は人との駆け引き」と誤解する人が多かった原因であるように思われます。

 とはいえ、不確定要素を伴う対人ゲームである以上、人読みの要素も少なからずあります。特に顕著になるのは打ち手によって判断が変わりやすく、それに応じてこちらの判断も変わりやすいケース。本書で取り上げられているようなフーロ読みです。

 ルールや環境の違いもフーロ率に影響しますが、同じ環境でも個人差がかなり大きいことは、オンライン麻雀の個人データからもよく分かります。鳴き手への押し引き判断がリーチの時ほど具体的な基準を作りづらいのは、まさに対人読みの要素が小さくないためです。

 とはいえ、誰しも勝とうと思って打っていることには変わらないので、打ち筋が大きく違う打ち手であっても共通項はあります。河や点数状況、麻雀の持つ不確定要素を軽視して相手を意識し過ぎると判断を誤りがちになります。よほど特徴的な打ち筋の他家でもなければ、河や点数状況を踏まえたうえで、それでも押し引き判断に迷うケースで初めて対人読みを考慮するくらいがちょうどよいでしょう。

 99ページのように序盤から特に薄くもなく、手役を確保する仕掛けでもなさそうなリャンメンチー。ドラがで、他家視点からはほぼドラが見えていないとなると、いずれにせよドラが固まっている仕掛け、白がトイツならリャンメンから鳴くくらいなら絞られることを嫌ってスルーも珍しくないので、相対的に白アンコのケースも珍しくない。チーした打ち手が打点重視の打ち手であるという情報がなくても、このような仕掛けが入れば相応に警戒すべきと判断します。

 とはいえ、鳴いても役確定のうえリャンメンが残るとなれば、たとえ警戒されたとしても鳴いた方がアガリやすいでしょう。いずれにせよ高打点が警戒されるなら、ドラを持っていないケースを他家に想定させやすいようにを含んで鳴きます。「早くて高い手は目立たないように仕掛ける」のが原則でしたが、「いずれにせよ高いと読まれやすい場合はハンドレンジを絞られにくくするために目立つように仕掛ける」。『現代麻雀の神ワザ』分析16に、大三元をアガリやすくするためにあえてホンイツをアピールする河作りが紹介されていますが、それとよく似ていますね。

現代麻雀の秘技 相手に対応させる技術

基礎的な麻雀戦術理論がネット上で共有されたことで、麻雀ファン全体のレベルが上がったと言われています。その中で差をつけるための技術として、今注目を集めているのが「相手に対応させる技術」です。相手の「対応する技術」を逆手に取って、その裏をかくハイレベルなテクニックとなります。

本書ではそのような戦術を論理的な解説に定評のある平澤元気プロが説明します。
(1)読みの基礎 
(2)それを応用する技術
(3)ただしこれはやりすぎ

本書で基本的な読みのテクニックとその裏をかく技術をマスターしてください。

著:平澤 元気
単行本:1,663円
 

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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