- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第4章 リャンカン
テーマ35
リャンカンも第3章で触れた複合ターツの一種。カンチャンにフォロー牌がついた形です。本書では「複合形」としてまとめられていますが、その形がメンツ、ヘッド、ターツ、(ターツ+)フォロー牌、浮き牌のいずれに属しているのかを押さえておくことをお勧めします。
本書ではリャンカンがリャンメンにいかに劣っているかという視点でリャンカンの価値をまとめていますが、リャンメンとリャンカンの比較であれば、手作りの知識を持たない入門者の段階であっても、直感的にリャンメンを選べる人が多いものです。実戦で比較するのは他のターツや浮き牌であることが多いのではないでしょうか。
そして、他のターツとの比較となると、むしろコストを1つ上げるだけで、受け入れが4枚から8枚と2倍になるというリャンカンの長所が目立ちます。欠点も多いとはいえ、一度出来ればテンパイ以前に崩すこともあまりないのがリャンカンです。
確かにリャンメンとリャンカンの間には超えられない壁がありますが、その超えられない壁を努力で何とか乗り越えようとしてきたのがリャンカン。カンチャン界のエリートとも言えるでしょう。だからあまり嫌わずに、受け入れていくことを個人的にはお勧めします。
テーマ36
リャンカンは他の複合ターツと異なりトイツを含まないので、例題Aのようにヘッドレス形からの打牌選択になる場合もあります。そのままメンツとしても、ヘッドとしても使えるアンコがあると受け入れが圧倒的に広くなるので、テンパイ以前の段階でアンコを切ることは稀です。
リャンメンがターツ界の天使ならば、アンコは神。リャンメンとリャンカン以上に超えられない壁があるのです。本書では打を推奨していますが、スジに引っかからない打ち手が多いと言ってもカンとカンではアガリ率に結構差がつくうえに、より先にテンパイする牌の方が遥かに多いのですから個人的には打派です。
例題Bのように浮き牌との比較となれば、リャンカンを残すことが多いです。リャンメン変化が豊富なうえに打点も上がりやすいという条件が揃って、初めて浮き牌を残してリャンカンを外す選択が有力になります。
例題Cは弱ターツ3枚構成理論を押さえていれば簡単ですね。ピンズの形がリャンカンであると気付けるかどうかがポイントです。
テーマ37
リャンカンとカンチャントイツの比較は、カンチャンとシャンポンの比較でシャンポンを選ぶことが多いのと同様にカンチャントイツを選ぶことが多くなります。例題Aのようにリャンカンがメンツになると平和がつき、リャンメン変化でも大差無い場合はリャンカンを残しますが、例題Bのように平和がつかなければカンチャントイツを残します。符ハネで打点が上がる可能性があるのもメリットです。
テーマ38
カンチャンとシャンポンの比較で、リャンメン変化の多さからシャンポンを選ぶことが多かったように、例題Aからは平和がつきますがカンチャントイツを残します。リャンメンに変化した場合はその方が平和がつきやすいので、結果的に打点面でも差がつきません。
例題Bはテーマ36例題Cとほぼ同様。ピンズのこの形もリャンカンであると認識出来るかどうかが全てです。ターツ+フォロー牌の形に分けようとするとかえって分かりづらいので、これは1つの組として覚えてしまうことをお勧めします。
テーマ39
リャンカンの渡りを残すかどうかという問題は昔から議論になることがよくありました。1シャンテンピーク理論に従えば、渡りを残すことで受け入れが1種減るとはいえ、単なるカンチャンよりリャンカンが出来た方が1シャンテン時に手広くなりやすいため、「渡りを残した方が有利」となります。
しかし、リャンカンが出来たところで残さない、もしくはリャンカンが出来ることがほぼメリットにならないのであれば、渡りを残さない方が受け入れ1種の差で有利と言えます。
例題Aの場合は、リャンカンが出来た時に切られる牌が浮き牌のなので問題なく渡りを残せます。
しかし例題B、Cは、リャンカンが出来た時に切られるのが、ポンテンも取れるようになるフォロー牌の。リャンカンが出来ることがメリットになるとは言い難いので渡りを残さない方がよいと判断します。
リャンカンの渡りに限らず、打牌AかBかで迷った場合は、1手進んだ時に切られる牌Cに着目するという考え方は特に重要です。セオリーだけ押さえていると、牌Cの価値によって判断が変わるケースに気付きづらくなります。本書のレビューで何度となく、「言葉で考えるより、1手先の形を想定する」と申し上げているのはこのためです。
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