- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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第一章 攻撃のベストバランス
03 手牌の価値
26ページの牌姿は、ツモでもメンツができるという理由で打とする方も多いのではないでしょうか。先にペンをツモるようなら、一通目で残しが活きる形になるので、牌の価値は部分だけでなく全体で見る必要があります。 ただし、リーチツモ役牌ドラ1でも満貫に届くこともあり、との比較は微妙なところ。手牌だけの評価では難しい場合は、その局のテーマが判断の鍵になります。役牌が重なった場合にポンして手を進めることが有力になりやすいルール、点数状況であれば打、そうでないなら打発というところでしょうか。
Mリーグは赤有りルールということもあり、個人的には東1でも打としそうです。都合の良い仮定ではありますが、残りのドラが全て使えて、そこから2枚引けば鳴いても満貫に届くためです。逆に言えば赤無しなら打が有力と考えます。赤有りかどうかで打ち方はさほど変わらないとコラムで取り上げましたが、今回のようにアガリに遠い段階の手作りとなれば、手牌だけではかなり微差の比較になるので、ルールの違いが判断の決め手になると考えました。
押し返せる手組を作ることの重要性は、昨今の戦術本で何度となく取り上げられてきました。それまでの戦術本が、先手を取るためにスピード重視寄りの手組について取り上げられることが多く、後手を踏みそうな手組に関する記述が薄かったというのもその理由として上げられそうです。
では、スピード重視寄りの手組について取り上げられてきたのは何故か。それはまさに、価値のある手=高い手という誤解をされることが多かったためです。実戦の手組はどこまで行っても、目的に応じたより価値の高い手を作ることを目指すものです。
28ページ下の手牌は、5ブロックが揃っていないため発をスルーしても手が進みやすく、三色になる受けもあるのでメンゼンで高打点になりやすいです。一方29ページの手牌は、5ブロックが揃っているので発を鳴くことによるアガリ率上昇のメリットが大きく、メンゼンでも高打点になりにくいです。価値ある手を作るためには、どんな手牌が高価値であると言えるのかという知識と、1手先の受け入れや変化を正しく把握できる認知力が必要になります。両方を兼ね備えた打ち手になれるよう、座学と実戦、両方に励みたいものです。
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現在麻雀界はMリーグの開幕で活況を呈しています。トッププレイヤーによる真剣勝負をリアルタイムで観戦できるのは麻雀ファンとしても興味の尽きないところです。 そんなMリーグに最年少で参加しているのが日本プロ麻雀協会所属の松本吉弘プロ。第9回 TwinCup優勝、第25期 發王戦優勝などの勢いを買われ、サイバーエージェントがオーナーを務める「渋谷ABEMAS」に大抜擢されました。 元高校球児で強面。その容貌から「卓上のヒットマン」の愛称でファンに知られている松本プロですが、麻雀の腕も一級品。 その場の状況に応じて様々なスタイルを使い分ける「ベストバランス麻雀」を身上としてMリーグでも活躍しています。 本書は手順、読み、大局観、ゲーム回し、押し引きといった麻雀で勝つための重要事項をテーマに、松本プロが自身の戦術を初披露した、ファン注目の一冊です。