ネット麻雀、「天鳳」のサービスが開始されたのは2007年3月(それまでは「半熟荘」という名前でした。)当時ネット麻雀で主流だったのが、「麻雀4(ハンゲーム)」「東風荘」「ロン2」の3つです。
「麻雀4」はおそらく当時最も参加人数が多かったネット麻雀。無料で遊べるサイトとしては画質も良く、ルールのアリアリ赤有りとメジャーなルールが主流。麻雀に飽きたら他のゲームをプレイするなりチャットに興じるなりすることもできるので、いわゆる「エンジョイ勢」にとっては最も遊びやすかったと思われます。
しかし、レーティングのような実力指標がありません。一応勝ち越してマネーを増やさなければ上の卓でプレイできないので選抜要素はありましたが、途中から課金すれば上の卓で打てるようになったのでその意味合いも薄れました。
「東風荘」は現在ではサービスが終了したネット麻雀の最古参。麻雀本として今世紀最大のベストセラー『科学する麻雀』を生み出す要因ともなった、レーティングによる成績選抜と牌譜データを保存できる機能が特徴的。「ガチ勢」の割合が最も多かったネット麻雀です。
しかし、気になるのはやはり画質が一時代前のものであることとルールの特異性。私はクイタン無しはそれほどでもありませんでしたが、親がノーテンでも流れないことにかなり違和感を覚えました。
「ロン2」は日本プロ麻雀連盟公認のネット麻雀。画質も良くレーティングによる成績選抜もあり、ルールも一般的です。
しかしながら基本有料。それでも「麻雀格闘倶楽部」のようなアーケード麻雀に比べれば安上がりですが、プレイ人口は他2つと比べればどうしても少なくなります。むしろ当時は「麻雀格闘倶楽部」の方がまだ人気だったように思われます。私自身がそうでしたが、「ゲーセンで麻雀を打つのは好きだが、PCの前なら無料でできる他のことがしたい」という層が少なくないのかもしれません。
そこに、画質がよく、成績選抜要素があり、無料(当時は鳳凰卓はまだ無かった)と、三者の長所を全て兼ね備えたネット麻雀「天鳳」が誕生。私も、ハンゲームの勉強会で打っていた強者に勧められて天鳳で打つようになりました。
ネット麻雀だけでなく、アーケード麻雀、リアル麻雀からの強者もこぞって天鳳に参戦したこともありユーザー数が急速に増えていきました。噂に聞いていた強者の打ち筋を観戦できるようになり、強者達のファインプレーに度々驚かされたものです。
天鳳リリース後も様々なネット麻雀が誕生しました。特に「雀龍門」(2009年12月11日サービス開始)はリアルな演出、成績選抜有りのうえに無料ということで急速にユーザー数を伸ばしました。個人的には、これで天鳳の一強体制も終わるかと思われましたが、途中から基本有料になったので天鳳のシェアを奪うにまでは至りませんでした。
有料化の流れは企業である以上やむを得ないことだったかもしれませんが、逆に言えば天鳳は角田氏一人で運営しているため、利益を出すことにさほどこだわる必要が無かったというのも、天鳳が繁栄した大きな要因と言えそうです。
天鳳の爆発的人気を受け、史上初の「ネット麻雀」のタイトルがついた戦術書『天鳳公式完全攻略読本』を出版することとなりましたが、創始者角田氏公認で制作することになったと福地氏から聞いた時は、いよいよこんな時代が来たのかと、制作側の人間でありながら衝撃を受けたものです。角田氏をはじめ、全ての天鳳愛好家の皆様に、改めて御礼申し上げる次第であります。