「酩酊の失敗学」
私は幼い頃、麻雀以外に、「お酒」にも興味津々でした。TVで大の大人がビールを飲んでいるのがとてつもなく美味そうに見えたのです。子供が好きそうな食べ物より、酒の肴になりそうな食べ物を好んでいたこともあって、大人からは将来大酒飲みになると思われていました。
しかし、結局私は成人してからもまともにお酒を飲むことはありませんでした。体に合わないわけでも、不飲酒戒を守っているつもりでもありません。私がお酒を飲まない理由について少しお話させていただきます。
大学に入学して最初の歓迎会。誰しもお酒を勧められた経験があると思いますが、基本は不真面目だけど妙なところだけ真面目な私は、「お酒は20歳になってから」と決めていました。先輩から勧められたカルピスも「カルピスサワー」であると見抜いて無事トラップを回避しました(笑)
それから何度かクラス仲間と飲み会をする機会がありましたが、大学に合格するための勉強以外は皆無といってよいほど何もしてこなかった私は、いつも他人に迷惑をかけてばかり。本書では酔っぱらって失態を晒してしまった話が書かれていますが、私はもっと洒落にならないことを素面でやらかしていました。これはもう体質関係無く、子供がお酒を飲んではいけないのと同様、私が手を出していいものではないと思わされたものです。
お酒は人が普段隠している心の内を映す鏡でもあります。私とは対照的に、大学に合格するための勉強などは当たり前で、才能に満ち溢れ、それでいて何事にも努力を絶やさない。人間の鑑のような人が、有り余る才能故に苦悩を抱えてきたということも知らされました。酔い潰れた仲間の肩を持って連れ歩いたことも何度かありましたが、迷惑をかけるのはお互い様。せめてこんな時くらいは、世話を焼く側に回ろう。そういうわけで、私は大学在学中に一度も酒を飲まず、そのまま今日に至るのであります。
私以外で酒を全く飲まなかった人で思い出すのが、当コラムで何度となく紹介しているCさん。理由は麻雀に悪影響だから。私はCさんのような雀力も無ければ、麻雀に対してストイックに向き合うこともできませんが、「酒を飲んだら麻雀のことなどとても考えていられない」「人と違って何をするにも遅いので、麻雀に関わる時間を確保しておきたい」というのも、昔はあれだけ興味があったお酒に結局手を出すことがなかった理由かもしれません。