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卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第15回 見えている枚数を確認しよう

卓上でヨシ!麻雀暗記ノート 第15回 見えている枚数を確認しよう

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「ラスベガスをぶっつぶせ」という映画があります(予告編動画)。
穏やかでないタイトルですが、乱暴な手段でつぶそうという話ではありません。
米国のマサチューセッツ工科大学(MIT)の学生らが、頭を使ってカジノのブラックジャックで勝負するストーリーで、実際に起きた事件がもとになっています。

彼らが武器にしたのは、トランプの「カウンティング」という技術。
既に出たカードの種類と枚数を覚えて、まだ使われていないカード(これから出てくるカード)の種類の偏りを計算し、勝負に生かす方法です。ただ、カウンティングは客に有利になりすぎるため、多くのカジノで禁止されています。主人公らは大金を稼ぐものの、発覚してピンチに陥ります。

麻雀も、1種類の牌が4枚あるのは、トランプと同じです。例えば、自分が[東]を2枚持っていて、かつ他家が2枚捨てていたら、もう他家の手の中や、山の中には、1枚もないことがわかります。
このような意味でのカウントは、もちろん禁止されていません。というより、麻雀の最も基本的なことがらの一つです。

対局中に、自分から見える牌は、
1 自分の手牌
2 ドラ表示牌
3 河に捨てられている牌
4 他家が鳴いた牌、アンカンした牌
の4種類あります。

「他家の手の中を読む」ことはもちろん大事で、目指すべきなのですが、簡単ではありません。
高度なことをする前に、まず「見えているものをきちんと確認する」基本を固めるのがおすすめです。

もっとも、トランプと異なり麻雀牌は34種類あるので、「今は[①]が2枚、[②]が3枚見えていて、[③]はまだ1枚も見えていないな。[④]は…」などとリアルタイムで全て把握することは難しいですね。最初は、次のようなポイントを意識してみましょう。

A ドラ

第7回で紹介したように、ドラはとても重要です。終盤になって1枚も見えないと、誰かがかためて持っている恐れもあります。
余裕があれば、ドラの周りの牌も気にします。例えばドラが[1]で、[2]が4枚とも見えているとしましょう。[1][2][3]の形で持っている人はいないと分かるので、誰かが[1]をアタマか暗刻で使っているんだろうなあ、ちょっと警戒するかな、と考えることができます。

B 自分にとって必要な牌

リャンメン待ちや多面待ちは、強い待ちですね。強い理由は、枚数が多いからです。[六][七]のリャンメン待ちは、[五][八]の2種類、あわせて8枚。一方、[⑦][⑨]のカンチャン待ちは[⑧]の1種類4枚だけです。8枚と4枚で、2倍違います。

しかし、すでに下家が[五]をカンし、上家が[八]をポンしていたらどうでしょう。8枚中7枚が既に見えており、残りは1枚だけです。一方、[⑧]はまだ1枚も見えていないとします。当然、[⑧]待ちの方が期待できますね。一見リャンメン待ちの方が形はよいのですが、残り枚数を考えて、実質的に強い待ちなのかを確認しましょう。

C 重要な字牌

東場の[東]、南場の[南]のような牌です。これらがあると、ダブ東、ダブ南で2ハンになる可能性もあります。終盤まで見えないと、誰かが暗刻で持っているリスクを考えましょう。
 
字牌はふつう、不要牌として序盤に切られることが多いです。にもかかわらず、中盤、終盤になっても多くの字牌が不自然に出てこない局面も、注意が必要です。誰かが複数の字牌を暗刻で持って、高い手を育てている恐れがあります。

また、自分が重要な字牌を2枚持っていて、ポンしたいときは、その牌が河に捨てられていないかを見ましょう。当たり前ですが、既に河に2枚切られていたらもうポンはできません。アタマとして使うか、捨てるか、安全牌としてキープするか、という選択肢になります。

D 高い手を作ろうとしている他家が欲しい牌

他家が[白][発]をポンしたら、[中]の枚数を確認します。もし自分が2枚持っていれば、自分が[中]を捨てないかぎり、大三元は阻止できます。3枚持っていれば、小三元も防げますね。鳴いた人は[中]をツモれ!と気合を入れているでしょうが、ひとまず安心して手を進められます。

同じく、中張牌をビシビシ切って国士無双を目指している人がいたら、一九字牌の枚数を見ます。どれか1種類でも4枚見えていたら、国士無双は絶対にできませんので、安心できます。例えば、[9]が河に1枚切られていて、自分が3枚持っていれば、国士無双は阻止できています。一方、狙っている人は「まだ1枚しか捨てられていないからツモれる」と期待しているでしょうし、他の2人は、まだ国士無双を恐れているかもしれません。

4人のなかで、自分だけが「この人が狙っている役は絶対に完成しない」と知っている状況は、相当有利なときがあります。

E 七対子を狙うときの待ちの候補

七対子を目指すときは、これから引きたい牌の枚数を数えます。ふつうは、中張牌より一九字牌を残すのがセオリーですが、一九字牌であっても、既に3枚河に切られていれば、当然ながら絶対にツモれません。一見よい待ちだと思っていたら実は1枚もなかった、、、ら悲しいので、よく確認しましょう。

なおテンパイ時には、河に1枚切れている字牌(特にオタ風)で待つ場面がよく見られます。自分が1枚、河に1枚なら、残りは2枚。ツモも期待できますし、他家が「1枚切れているから生牌じゃないな」と判断し、捨ててくれる可能性も高いからです。
 
一方、1枚も切られていない字牌で待つと、他家に暗刻で持たれている可能性もありますし、生牌なので警戒して捨ててくれないことがあり、微妙な判断になります。もちろん、山に3枚残っていて、ツモれる可能性もあるのですが。

F 自分がカンできる牌

ある牌を暗刻で持っていたり、ポンした時は、カンをできる4枚目が残っているかを見るとよいです。
一般的なルールでは、カンをすればカンドラが増えますし、リーチしてアガればカンウラも見られます。
ドラ表示牌が合計4枚になり、ドラが乗るチャンスが大幅に増えます。一度のカンが、戦局をひっくり返すことも珍しくありません。

今年3月8日のMリーグ第1試合のオーラスでは、印象に残る場面がありました。トップと5600点差だったサクラナイツの内川幸太郎選手が、タンヤオ赤赤をテンパイ。ドラの[4]でアガれば満貫で逆転ですが、[7]をツモると1000/2000で2着止まり、という状況になりました。

すると、ポンしていた[②]の4枚目をツモって加カン。カンドラは、自分が3枚持っている[五]になり、一瞬でタンヤオ赤赤ドラ3の跳満に育ちました。その後[7]をツモった内川選手は、文句なしの勝利をおさめました。

カンをできる確率は高くはないですが、常にその可能性を確認し、4枚目を持ってきたときにカンをするか事前にイメージしておくと、スムーズに判断できます。


ところで、局が終わっても、決して見られない牌があります。最後に残る14枚の王牌(わんぱい)のうち、ドラ表示牌を除く牌です。極端な場合、たかはしさんの『りーち、ですっ♪』148話のように、欲しい牌がことごとく王牌でした、ぐぬぬ、という結末もありえます。いかに丁寧に牌をカウントしても、これは予測できないですね。
 
Mリーグ2020の最終日(5月18日)は、全8チームの選手が表彰式会場で取材に応じて下さったのですが、「麻雀の魅力」を聞かれたフェニックスの和久津晶選手が「王牌」と答えていたのが心に残りました。「王牌という、未確定な部分があるからこそ、少しでも麻雀の核心に迫ろうとするし、いつまでも追い続けることができる」。

和久津選手は、いつも意外性のある言葉で、麻雀の本質を伝えてくれている気がします。「麻雀ウオッチ」の人気連載「Mリーガー列伝」のインタビューでは、麻雀を「思いやりのゲーム」と捉えていました。「そんな考え方があるのか」と驚くとともに、理由を読んで共感しました。和久津選手の生き様や、プロをやめる寸前だった話など、深い内容なので、ぜひお読みください。

 次回は、「アガリへの考え方は大きくわけて2つある」というテーマでお届けします。

この記事のライター

藤田 明人
最高位戦日本プロ麻雀協会第43期後期(2018年入会)
兵庫県出身。東京大学法学部卒業後、新聞社に入社。
記者を経て、教育事業部門で勤務。
麻雀が、幅広い世代の学びにつながることを研究しています。

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