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ネマタの戦術本レビュー第503回「新版おしえて!科学する麻雀 著:とつげき東北 編:福地誠 その25」

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第2章 なぜ第一打に字牌を切らない?

 実は私もほんの一時期試してみたことがありますが、何の効果があるのか分からずすぐにやめてしまった記憶があります。ネットで麻雀関連のブログをやるようになって初めて書いた記事が、「第一打に字牌を切れ」という内容だったりします(笑) 今ではどちらかと言えば第一打に字牌を選ばないことが多い打ち手かもしれません。

 「第一打に字牌を切らない」「テンパイまでドラを切らない」。真偽は別として、「枠組み」を作ることで場況に集中させることに狙いがあったのではないかと個人的には考えます。「速打ち」が推奨されているのもそのためではないでしょうか。

 麻雀の選択の手順は、「勝つための現代麻雀技術論」コラム内にも書きましたが、場の情報を把握する「認知」、情報から最善手を導く「判断」、判断した通りの選択をする「操作(打牌)」の3段階からなります。戦術書で何を切るか学ぶというのは、「判断」のための基準を学ぶということです。

 「判断」のための正しい知識が身に付いても、「認知」の段階で見落としがあると誤った選択をしかねません。しかも、凸本以前の当時の環境で、「判断」のための正しい知識を学ぶことは極めて困難です。それならば、「判断」の精度はさておき、結果的に「認知」の精度を高めることができる教えに従うことで実力が向上するということもあったのではないでしょうか。

 もちろん、より優秀な「枠組み」が出来た今となっては、それまでの枠組みは不要と言ってよいでしょう。しかし、「枠組み」にこだわるあまり、「認知」が疎かになってはいけません。打ち筋が「古い」打ち手でも結果を残しているプレイヤーがいるのは、「判断」はともかく、「認知」の精度が人一倍高いからではないでしょうか。

 余談になりますが、麻雀格闘倶楽部をプレイしていた当時、行きつけのゲーセンの常連客に「第一打に字牌を切らない」「テンパイまでドラを切らない」「対局中に近代麻雀ゴールドを読んでいることがある」プレイヤーが居ました。戦績も当時の私よりはよかった記憶がありますが、自分には絶対に真似出来ない打ち方という印象を受けました。凸本に出会う前に、「何となく」打っていただけの私が、「誰かの打ち方を真似してみよう」という気持ちが起きる程度に勉強熱心であったのであれば、少なくとも今のような形で凸本に出会うことはなかったでしょう。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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