- 『ネマタの戦術本レビュー』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる戦術本レビューです。
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当レビューは書籍の内容に関するネマタ氏が当書の回答に異論があるもの、追記事項があるものを取り上げます。姿牌、局面については書籍を購入してご確認下さい。
第4章 状況判断編
24副露目 相対速度
牌姿Aのように、条件がなければなるべくメンゼンで進めたい1シャンテンでも、他家がテンパイしてそうとなれば速度を合わせてテンパイに取ることを考える必要があります。
こちらは牌姿Aよりもテンパイしやすい完全1シャンテンのケースですが、他家リーチが入っている場合はほぼテンパイ取り有利(ただし序盤はスルーと僅差)。しかし意外なことに、他家2副露が入っている場合は副露が入っている場合と基準がほとんど変わらないという結論になっています。
もし、2副露している他家が安いうえにまだテンパイしていないと読めるのであれば、高打点が狙える1シャンテンから速度を合わせてテンパイに取りにいくのは得策とは言えません。一方、誰も副露してなくても、すぐにでもリーチがかかりそうな河の他家がいるとなれば、テンパイ取りを急ぐべきケースもあるでしょう。鳴きよりメンゼンの方が打点が高くなりやすいので、アガリ損ねた時の失点も大きくなります。「2副露している他家がいる」という条件下で結論が変わらないのはこのためと思われます。
結局のところは2副露の「質」によって鳴き判断が変わると言えます。151ページの図に関しては、南家の打ち筋次第で判断が変わりそうです。ドラが固まっている手でなければクイタンの仕掛けを入れない打ち手が相手なら迷わず鳴きますが、のみ手でアガリに遠いところからでも積極的に仕掛けを入れる打ち手が相手ならスルーも考慮します。
25副露目 上家の捨牌
鳴くことでどの程度アガリやすくなるかは、上家からチーできるかどうかに大きく影響されます。上家が一色手やチャンタ狙いといった、特定の牌を集める手役を狙っている場合は、多少遠いところからでも鳴いてアガリを拾いにいくことを考えます。上家の待ちが絞りやすく、残りの他家は上家の仕掛けに対応して手が遅くなる場合もあるので、アガリに遠い仕掛けを入れても将来降り打ちするリスクが少ないというのもポイントです。
鳴きやすい牌が変われば手組も変わります。159ページのように上家がマンズ一色手ならマンズを先に払って他色でもう1ブロック作ることも考えます。6ブロックある場合に安牌を抱えて、将来危険になりやすいブロックを落とす手筋も押さえておきましょう。
26副露目 山読みの精度
一昔前は、「が入って安手になるのはもったいない」「一色手狙いの色を絞られにくいように、2番目に枚数が多い色から切る」といった理由で特に条件がない局面からでも打とする記述を結構見受けました。もちろんここから字牌を切るくらいならペンチャンを落とした方がよいですが、打としない理由としては弱いのではないかと疑問でした。
この手はホンイツだけでなくトイトイもあるので、本書のように山読みの精度が加われば残しも候補に上がります。そしてこれこそが一昔前の戦術書で、一見単なる安め拒否にみえるペンチャン落としが推奨されていた理由ではないかと思いました。ターツという理由だけで残すものと決めつけていると、手役を探す能力、山読みの能力が身に付かなくなる恐れがあります。
本書で指摘されている通り、基準はあくまで目安。一通り基準を押さえたうえで、実戦では「いつ基準から外れるか」を集中して考えるようにしたいですね。
麻雀鳴きの教科書
アガリ回数を劇的に増やす!鳴きの技術
メンゼンで我慢するか、鳴くか。どの牌なら鳴くか、何巡目から鳴くか・・・。
副露はアガリ回数や得点に直結する分野でありながら、麻雀技術の中でも特に「上級者でも意見が分かれやすい」問題です。
例えば副露率40%を超える天鳳位は何人かいますが、同じフィールドで結果を出している副露率20%台のツワモノも存在します。
本書で鳴き判断の本質を学べば、悩ましい場面に直面したとき少なくともどういう道筋で考えていけばいいのかがわかるはずです。そして、そのように自分で理由をつけられるプレイをすることが麻雀では非常に重要なのです。
ぜひ本書で鳴きの極意を体得してください。