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Mリーガー列伝(3):村上淳(ドリブンズ)

Mリーガー列伝(3):村上淳(ドリブンズ)

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キャッチフレーズとは難しいもの。わかりやすく簡潔に、かつインパクトも必要とされます。

「リーチ超人」

このキャッチフレーズが許されるのはこの男しかいない。その圧倒的な武器を駆使し、Mリーグファイナルシーズンでチームを優勝に導いた男。

今回は村上淳プロの軌跡を紹介したいと思います。

◆村上淳(むらかみじゅん)
◆生年月日:1975年4月10日(44歳)
◆出身地:東京都武蔵野市
◆血液型:B型
◆所属チーム:赤坂ドリブンズ
◆所属プロ団体:最高位戦日本プロ麻雀協会
◆趣味:カラオケ、お酒
◆主な獲得タイトル:第35・39・42期最高位、第5・9期最高位戦Classic、第2期新輝、第8期日本オープン、第14回モンド杯、第10回モンド王座、2018麻雀駅伝団体優勝、四神降臨2018王座決定戦優勝、四神降臨2018王者決定戦優勝
◆Twitter:@zunzuntantan
◆Instagram:@zunzuntantan

将棋が好きだった少年時代から麻雀プロの道へ

父は弁護士、母は料理研究家という厳格な家庭で育った村上が麻雀と出会ったのはなんと幼稚園の頃。母方の祖父から教わった村上は、小学生の頃にはすでに点数計算もマスターしていたといいます。しかしこの頃好きだったのは将棋で、千駄ヶ谷にある将棋会館にも通うほどでした。

その後も麻雀とは適度なお付き合いを続けていた村上ですが、そんな生活が激変したのは浪人時代。週にどれくらい打っていたのですか?という質問に対する答えは当然のように7日でした。当時高田馬場にあった伝説のギャル雀にも足を運んでいましたが、そのお店のオーナーが最高位戦選手だったことで麻雀プロや最高位戦への縁が芽生え始めました。

麻雀漬けの生活に見えますが、きちんと合間に(笑)受験勉強も続けた村上は1年の浪人で早稲田大学に入学。大学に入っても同じようなペースで麻雀を続け、大学2年の冬に先ほどの麻雀店のオーナーから最高位戦へ勧誘されます。

団体を超えた交流 小林・たろうと「オカルトバスターズ」結成

ここでプロ試験受験を決意した村上は22期(1997年)に20歳で最高位戦に入会します。同期には現在最高位を奪い合う最大のライバル近藤誠一や、元最強位の長村大さんがいる黄金世代でした。

入会後すぐに頭角を現し、4年でAリーガーとなった村上ですが、この間に様々な勉強会に参加し、その技術や思考を磨いていきます。

牌理塾と呼ばれた勉強会は、安藤満さん(※1)がリーダーを務め、参加者にも多井隆晴(RMU)・阿部孝則 (RMU) ・河野高志 (RMU) ・忍田幸夫(連合)・古久根英孝さん(元最高位戦)・尾崎公太 (元最高位戦) さんなど錚々たるメンバーが参加しており、ここでトッププレイヤーの思考を吸収していきます。

さらに山口まや(最高位戦)が主催の山口組という勉強会では、鈴木たろう(当時棋士会)・小林剛(連合)・水巻渉(最高位戦)・佐藤崇(最高位戦)・石橋伸洋(最高位戦入会前)という現代のトッププロが若手同士で研鑽し、その技術を高め合いました。

2004年には、その中で特に評価を高めていた鈴木たろう・小林剛とともに「月刊プロ麻雀(※2)」誌上で「オカルトバスターズ」というユニットを結成します。

当時の主流であった「流れ」という考え方を全面的に否定し、トッププロのオカルト論に対して真っ向から言い返していきます。

「オカルト派」に対して「デジタル派」の立ち位置に置かれた3人ですが、彼らの主張は「局と局に繋がりはなく、山は完全にランダムに積まれている」ということであり、決して経験則や大局観を否定したり、スタイルの統一を目指すようなものではないのです。これは村上淳・鈴木たろう・小林剛の3人の雀風を見れば一目瞭然ですよね。

当時のトッププロと意見の相違で対立することもありましたが、その強さ自体を否定することはなく、間違っている部分は否定するが、良い部分は取り入れるという姿勢が彼らをMリーグに導きました。

家族からもらったお守りを力に快進撃

タイトルにこそ縁がないものの、順調にプロ生活を送ってきた村上に初めての試練が降りかかります。32期Aリーグ(2007年)でB1リーグへと降級してしまったのです。

B1リーグは16名が出場し、上位2名が昇級・下位4名が降級する過酷なシステムであり、さらに出場者もここまで勝ち上がり、あと一歩でAリーガーという野心も持っている力と心が充実した選手ばり。さすがの村上もAリーグ復帰まで5年は覚悟したといいます。

しかしこの頃結婚し、家族からもらったお守りを胸ポケットに入れて対局に臨むようになると、なんとぶっちぎりで1年でのAリーグ復帰を決めます。スーツの対局では今でも胸ポケットに、Mリーグでは左ポケットに手を当てる姿は今ではおなじみとなっています。

お守りなんてオカルトの塊では?という疑念にも、「家族のことを考えると力が湧く気がする」と語る村上。これはルーティーンと呼ばれ、集中力が上がることが実証されています。イチロー選手の打席に入った時のバットを前に出す姿は有名ですよね。

入場シーンでは左手をポケットに添える ©AbemaTV

 

同一年度3冠を2度も達成するも・・・悔しい負けを糧に練習に勤しむ

この降級からさらに強くなったと語る村上は、Aリーグ復帰2年目にあたる35期(2010年)に快挙を成し遂げます。第8回日本オープンでプロ生活14年目で初となるタイトルを獲得すると、返す刀で第5期最高位戦Classicを、そして悲願だった最高位も戴冠することになりました。麻雀のゲーム性からすると実現難易度がかなり高い3冠を達成し、村上イヤーと言われたこの年をきっかけにモンド杯にも初出場することとなり、この年からメディア露出が大幅に増えていきます。

第8回日本オープンで初タイトルを獲得

 

2014年にはモンド王座・最高位・最高位戦Classicを制覇し、再び3冠を達成。トッププロとしての地位を確立しました。

その後も順調にタイトルを重ねていきますが、それでも村上の心に大きく残る出来事が2つあります。

1つは2016年に行われた第一回麻雀プロ団体対抗戦での敗戦。最高位戦は準優勝で終わりましたが、村上の個人成績は▲205.3の31位。32位の金子と二人で500ポイント近い負債を抱え、自分が最高位戦を負けさせたという気持ちは今でも強く残っています。

もう1つは2018年に行われたRTDリーグ。BLACK DIVISIONに出場していた村上は▲527.7ポイントの最下位で敗退となってしまいました。視聴数が多く、影響力が大きいAbemaTVでの敗戦は、常勝が難しいとわかっていても精神的に与えるダメージは大きいものとなります。

負けないためにはどうすればいいのか。この疑問に対する村上の回答はシンプルなものです。

「練習あるのみ。練習量には自信がある。」

この一言に込められた村上のプライドと自信。

これからも練習を積み重ねたその先にある村上の麻雀、そしてリーチが楽しみですね。

※1 安藤満(あんどうみつる)・・・日本プロ麻雀連盟に所属し、鳳凰位(4期)や十段位(1期)、名人位(2期)、王位(1期)など数々のタイトルを獲得したトッププロ。麻雀の研究に余念がなく、様々な研究会を開催し、後進の育成にも力を注いだ。鳴きを活用して流れを変える戦術「亜空間殺法」を提唱。2004年に食道がんにより55歳という若さで亡くなった。

※2 月刊プロ麻雀(げっかんぷろまーじゃん)・・・1975年創刊の活字麻雀雑誌。競技麻雀の専門誌としてタイトル戦の結果や牌譜、戦術コラムなどが掲載されていた。2005年に休刊。

村上淳 年表
年齢 主な出来事
1975 0歳 東京都武蔵野市生まれ
1980 5歳 祖父から麻雀を教わる
1995 19歳 一浪して早稲田大学に入学
1997 21歳 大学2年時に最高位戦に入会(第22期)同期に近藤誠一・渡辺洋香
2001 25歳 入会4年でAリーグに昇級
2004 28歳 小林剛・鈴木たろうと「オカルトバスターズ」を結成
2008 32歳 結婚
2010 34歳 第8回日本オープンで優勝し初タイトルを獲得
    第5期最高位戦Classic優勝
    第35期最高位を獲得し、年間3冠を達成
2014 38歳 第14回モンド杯優勝
    第10回モンド王座決定戦優勝
    第9期最高位戦Classic優勝
    第39期最高位を獲得し、再び3冠達成
2015 39歳 離婚
2017 41歳 第42期最高位を獲得(通算3期)
2018 42歳 四神降臨2018王座決定戦、王者決定戦に優勝し、麻雀の鉄人も含めて9日間で3勝をあげる
    麻雀駅伝2018に出場し区間賞を獲得。最高位戦チームを優勝に導く
    Mリーグが発足し、赤坂ドリブンズに2位指名される
    第2期新輝戦優勝
2019 43歳 Mリーグ初代チャンピオンに輝く

 

著書

『マイナビ麻雀BOOKS 最強麻雀 リーチの絶対感覚』(2012年 マイナビ)

村上淳が「リーチ」をアツく語る!!実力派デジタル雀士として最高位戦リーグを最短でAリーグまで駆け上がり、2010年タイトル三冠を達成、現在はテレビ等で大活躍中の村上淳プロ待望の麻雀戦術本です。今回は村上プロの麻雀の骨子であり、テレビではその発声の良さでも有名な「リーチ」について徹底的に解説しています。リーチをするかどうか、この判断が麻雀の勝敗を左右するといっても過言ではありません。本書では三冠王のリーチの判断基準、リーチにまつわるテクニックをタイトル戦における具体例などを交えて分かりやすく説明しています。やっぱり麻雀はメンゼンでリーチ!このシンプルな戦略の重要性、優秀性が本書で分かるはずです。

この記事のライター

最高位戦日本プロ麻雀協会浅井 裕介
最高位戦日本プロ麻雀協会所属。
入会10年負け続けたが、近年圧倒的な速度で勝ちを積み重ねている売り出し中の選手。
立会人を呼び続け、ついたキャッチフレーズは「日本一キレやすいプロ雀士」。

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