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「捨てる勇気」が生み出した“黒沢咲”というキャラクター Mリーガー列伝(21)

「捨てる勇気」が生み出した“黒沢咲”というキャラクター Mリーガー列伝(21)

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 凛とした立ち居振る舞い。卓上を彩る打点高きアガリ形。TEAM RAIDEN/雷電・黒沢咲プロの代名詞「セレブ打法」が誕生したのは、ある先輩プロの一言で「捨てる勇気」を持てたことがきっかけだった。

またたく間に魅了された麻雀との出会い

 3人兄弟の長女として育った幼少期。祖父母と妹とよくドンジャラをやっていて「絶対負けない、勝つまでやる」という勝気な女の子だった。

 ドンジャラでは、同じ種類の絵柄を3枚1セット、計3セット集めたら役が完成する。麻雀で言えば暗刻3メンツで完成となるのでシュンツという概念はない。「だからいまだに同じ牌を集めるのクセがあるのかもしれませんね」とリャンメン形のリーチより、シャンポン形のリーチが多いと微笑んだ。

 麻雀牌に触れたのは大学生の時だった。同級生がやっているのを見た瞬間、136枚の牌たちに魅了された。「ドンジャラみたいでおもしろそう」と役もルールも知らないまま、いきなり向き合ったその日から夢中になった。

ドンジャラが大好きだった幼少期(写真右は弟)。幼稚園から大学入学まではエレクトーンを続け、高校ではオーケストラに所属

 

仕事をする上で大事にしていたこと

 大学卒業後は人事コンサルティング会社に就職した。「残業にならないよう仕事はすごい勢いで終わらせて、麻雀店に出かける毎日でした」と牌たちを愛する気持ちは、ますます大きくなっていった。

 仕事をする上で大事にしていたことは“流れ”を意識することだった。「流れがいい時はうまくいきやすいので、めちゃくちゃ働くんですけど、流れが悪いなと感じられた時は、何をやってもうまくいかなかったので、死んだふりというか、あまり動きませんでした」と自身が感じられる流れを軸に、メリハリをつけて働いた。「たとえばあの提案どうでしたかと確認するにしても、流れが悪い時に電話をしても絶対にいい答えがもらえる気がしないんです。そう思っていることで、そういう雰囲気も伝わってしまうこともあるので」と重要案件は、流れがいいと感じられた時に行うように意識していた。「社内でも今日は流れが悪いから電話するのはやめときますなんて平気で言っていたんで、変な人だなと思われていたかもしれませんね」と白い歯を見せた。

 

「Mリーグでは年々顕著に鳴かなくなって来ている気はしています」と鳴いただけでファンの話題にのぼる程、そのスタイルは確立されている©ABEMA

プロ入りにまつわる不思議な縁

 仕事帰りによく通っていた麻雀店には、二階堂亜樹プロ(EX風林火山)の父親が勤めていたこともあり、二階堂姉妹がゲストで来ることもたまにあった。「二階堂姉妹のお父さんからは、亜樹ちゃんと瑠美ちゃんがプロになればいいのにって言ってたよ」と言葉をかけてもらったことで、プロ入りを意識するようになった。

 麻雀プロになりたい旨を両親に相談したところ「もしかしたら反対されるのかなと思っていたんですが、頑張ってと背中を押してくれました」と2005年、晴れて日本プロ麻雀連盟にプロ入りした。

 平日は定時まで働き、その後は愛してやまない牌たちとの時間。週末はリーグ戦という中で頭角を現し、2008年には女流プロナンバー1を決めるタイトル戦「プロクイーン」を獲得とすると翌年には連覇を達成した。

 麻雀プロとしての仕事も増えてきたため、退職して麻雀プロ1本に絞り、CSチャンネルMONDO TVの女流モンド杯等、メディア対局にも出演するようになった。

 しかし順風満帆だったわけではなかった。タイトル戦等でも勝利ほぼ確実と見られていたところから大逆転負けを喫することも何度かあった。「転げ落ちるような負け方をした時は、自分を責めて、自分が嫌いになる。そういったものすごくネガテイブな反省と後悔を何年も何年も繰り返していました」と自信をまったく持てなくなった時期があった。

 己のスタイルを確立することが出来ず「鳴くのが下手だったので、勉強して練習しなきゃと思っていたんです」と模索し、悩み、迷走した。

 それは麻雀だけにとどまらず、恋愛においても似た傾向にあったそうだ。

TEAM RAIDEN/雷電は萩原聖人プロ、瀬戸熊直樹プロとの3人体制。「最初は怖くてしょうがなかったんですが、今ではどんどん大好きになっていくふたりです。本当に温かいふたりなので」

迷いが吹っ切れた先輩プロの一言

 2015年、転機があった。「黒沢が鳴きを止めたら、大変な打ち手になると前原雄大プロが言っていた」と先輩プロから聞いた。「前原プロと言えば、連盟では一番強いと思える一人でした。この一言で、もう鳴きはいいかなと思えるようになれたんです」と迷いが吹っ切れた。そして「鳴いて局を回すとか、かわすとか、そういったものを捨てられる勇気が持てるようになれました」と出来ないものや足りないものを追い求めるよりも、自身が極めたいメンゼンを軸とした高打点スタイルを磨き上げる覚悟ができた。

 2017年8月、子宮筋腫の手術を受けた。「起き上がれないほどのこの痛みが無くなって復活できたら、やろうと思えばなんでも出来るという気持ちになれたんです」と手術後はまるで憑き物が取れたような感覚があった。

 そして「恋愛も含めてなんであんなに細いことに悩んでいたんだろう。自分はいかに“恵まれた環境にいて“幸せなのか?」と思えるようになれた。 

結婚、出産、Mリーグ

 麻雀において「捨てる勇気」を身につけられたことで、プライベートでも変化が訪れた。

 手術前は「結婚は今世では無理かも」とネガティブにとらえていたが、手術後に出会いがあり、結婚、出産と人生が動き始めた。

 出産から3カ月後に開幕を迎えたMリーグ2020シーズンにおいては「旦那さんも理解してくれて、お義母さんもプロ活動を応援してくれているので、本当に恵まれています」と家族のバックアップに支えられ、子育てしながら参戦している。

 「とにかくその場でベストパフォーマンスを出せるよう集中し、それを楽しんでいきたい」と今、目の前にある環境に心から幸せを感じながら卓上に華を咲かせる。

黒沢咲(くろさわ・さき)プロフィール

生年月日:10月6日(年齢非公表)
出身地:東京都
血液型:A型
勝負めし:お肉かうなぎ
愛称:強気のヴィーナス
主な獲得タイトル:第6・7期プロクイーン、第3・9・12回麻雀さんクイーンカップ他

黒沢咲 年表
主な出来事
19×× 3人兄弟の長女として誕生
2005 日本プロ麻雀連盟へプロ入り
2008 第6期プロクイーン
2009 第7期プロクイーン
2015 前原雄大プロの一言で「捨てる勇気」を持つ
2017 子宮筋腫の手術を受ける
2018 TEAM RAIDEN/雷電よりドラフト3位指名を受ける
2019 A1リーグ昇格。Mリーグ勝利者インタビューで結婚を発表
2020 出産から2カ月後に出場した麻雀最強戦2020「タイトルホルダーvsMリーガー最強の女流決戦」で優勝。YouTubeチャンネル「くろさわチャンネル」開設

 

◎写真:佐田静香(麻雀ウォッチ) 、インタビュー構成:福山純生(雀聖アワー)

 

この記事のライター

福山純生 (雀聖アワー)
雀聖アワー代表。
マージャン普及を目的とした様々な事業を展開。
好きな手役は門前混一色七対子。
雀聖アワーオフィシャルサイト:http://8141.info/jansei/

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