麻雀映画が発展するためには?
「監督として最初に麻雀映画をやらせてもらった時は、おそらくこれで最後だろうと思っていました。なぜなら雀荘もやる人もどんどん減っていたからです。でも若い人がネットで麻雀をやるようになり、麻雀自体の競技性とゲーム性に面白みを感じ始めたので、廃れなかった。これは意外でした」
「私も『モンド杯』や『モンド名人戦』といった対局番組を見ているだけで面白い。だからまずは麻雀自体が、もっともっと広まって欲しいと思います。ただ残念ながら麻雀プロ団体がひとつにはなっていない。ひとつになってルールも統一されれば、ゲーム性もより高まり、誰が一番強いのかもわかりやすくなり、見る方も楽しくなる。本当になんとかしてくれって感じです」
この業界を目指す人へ
「映画の現場は、撮影、照明、録音、衣装、メイク、技術が基本スタッフ。さらに宣伝スタッフやロケハンコーディネーター、キャスト、マネージャー、車両ドライバー他。そして麻雀映画の場合は、闘牌指導スタッフも加わります。この中で自分に合った好きな分野を選んでみてほしいと思います」
「もしも監督を目指すのであれば、助監督からやってみることをおすすめします。最初は与えられた仕事をやるだけで精一杯ですが、3年ぐらい続けていくと周りの動きが見えてきます。私は助監督から撮影現場に入ったので、各パートが見えないところでどういった動きをしているのかがわかるので、とても役立っています」
「ではどうしたら助監督になれるのか。正直、やる気さえあれば誰でもすぐになれます。専門知識も不要で、映画を知らなくても大丈夫です。今、本当に人手不足でとくに若い人がいない。キツイしギャラも少ないので、だいたいすぐにやめてしまうんです。希望される方がいたら、いくらでも現場を紹介します(笑)」
麻雀が今の仕事に生きていること
「麻雀をやってきたことが今の仕事、麻雀映画の監督をやることに完全に直結しています。私自身、若い頃は麻雀で熱くなるタイプでしたが、熱くなっても勝てないし、常に冷静に周りを見ることが大切だと学びました」
「何より運の要素が強い分、どんなベテランプロも、どんなに強いプロでも、すごく謙虚だと感じます。常に謙虚でなければならないことも麻雀で学べます。それは映画に限らず、どんな仕事でも大事な要素です。トッププロになっても素人に負けることもあるわけですから、他のゲームや競技よりも人生に似ています。才能だけではうまくいかない世界なんでより人生に近いのかもしれません」
インタビューを終えて
監督の資質として一番大切なことは”コミュニケーション力”だと小沼監督は語る。「作品の内容が全パートに意志統一され、方向性がしっかりと定まっているかどうかを見るのが監督の役割。だからコミュニュケーション命なんです」
温故知新の発想転換、チームをまとめ上げる論理的な思考、あらゆるスタッフに対する気遣い、そして原作に対するリスペクト。映画製作現場は、まさに人間ドラマが集約された場所であることを教えてもらった。
インタビュー・文責:福山純生(雀聖アワー) 写真:河下太郎(麻雀ウオッチ)
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http://www.saki-project.jp/index.html
◎小沼雄一オフィシャルサイト『O’s Page』
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マージャンで生きる人たち back number
- 第1回 株式会社ウインライト 代表取締役社長 藤本勝寛
あらゆる挑戦は、すべて〝妄想〟から始まる - 第2回 株式会社F・R・C代表取締役 香宗我部真
"作業"が"仕事"に変わった先にあるもの - 第3回 ターナージャパン株式会社 制作部 プロデューサー 上島大右
好きなことを仕事にしようと考えるより、自分の仕事を好きになる努力するほうがいい - 第4回 フリーアナウンサー 土屋和彦
しゃべるのが仕事。しゃべることを取材することも仕事 - 第5回 株式会社セガ・インタラクティブ セガNET麻雀MJディレクター 高畑大輔
「マージャンのおかげでキレなくなりました(笑)」 - 第6回 RTD株式会社 代表取締役 張敏賢
「目指すは、新しいマージャン文化の創造」 - 第7回 漫画家 片山まさゆき
「盆面〈ぼんづら〉がいい人生。仕事も麻雀も。そうありたい」 - 第8回 株式会社アルバン 専務取締役 船越千幸
「奪い合うのではなく、増えるきっかけを生み出す」 - 第9回 健康麻将ガラパゴス創業者 田嶋智裕
「参加者に喜ばれ、なおかつ社会的意義のあることをやり続けたい」 - 第10回 株式会社日本アミューズメントサービス代表 高橋常幸
「希望が持てる業界を構築し、麻雀で社会を変えたい」 - 第11回 《More》プロデューサー 菊池伸城
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「想像力をどれだけ膨らませられるかが勝負です」 - 第13回 麻雀評論家 梶本琢程
「面白かったら続けたらいい。うまくいかなかったら次を考えたらいい」 - 第14回 麻雀AI開発者 水上直紀
「常識を疑い、固定概念を崩したい。強くなるために」 - 第15回 麻雀観戦記者 鈴木聡一郎
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