- 『ネマタの第八期天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第九期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
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第一節二回戦A卓
東1局
3巡目
醍醐プロの打が面白い打牌。形のうえではツモで受けが広くなるように頭固定の打ですが、打としてを引いても、巡目が早いなら345三色とドラ引き変化をみていずれにせよトイツを落としていくところ。それなら下家の切りからややをツモりやすく、ツモった時は平和がつくという利点があるので有力になります。即をツモったのはあくまで偶然で、本質はかでもう1ブロック作るようなら、の1ブロックが不要になるのでこの段階で外してもロスが少ないという考えにあるとみます。
北家木原プロはペンチャン落としの打。ドラ3あって鳴いても打点が下がりにくいので、タンヤオで仕掛けがきくところはいずれにせよ仕掛けるとなればペンを残す価値が薄く、それより役牌重なりを残した方がアガリやすいという判断です。一手先の手牌を見据えていれば、目先の受けを狭めるけれども将来的には有力な選択に気付きやすくなります。
東3局
4巡目
カンを鳴いた醍醐プロの手牌。345三色にならないと役無しなので事実上頭がない形。タンヤオ345三色になれば満貫に届きますし、先にツモでを残していた方が受け入れでも勝ります。のはつい早めに切りがちになりますが、が将来安牌になるとも限らないこともあり、ここは先に落としがよかったように思います。
南1局
3巡目
雀頭の123三色、ソーズ一通もあるので難しいところですが、鳴いて手を進めることが多く、鳴いた場合はホンイツにしないと安いということもあり醍醐プロは打を選択。打でないのはピンズだけ見せることで染め手がマンズかソーズかを他家に絞らせず、結果的にソーズを鳴きやすくする狙いでしょう。
9巡目
まだ3シャンテンなので先制テンパイを取るのは厳しく、ここで2枚切れ東を切れば他家からみてまだテンパイに遠い可能性が高いとみて攻め込まれやすい。よってここでを切り、をポンしたところでも打としてテンパイブラフを敢行。結果的には効果がありませんでしたが、ドラが固まっていてアガれば高い1シャンテン程度の他家を降ろして失点を回避できることもあります。真っ直ぐ手を進めることや降りることばかりが失点を回避する手立てとは限らないことを知らされます。
南4局
オーラストップ目で悪形役無しテンパイが入った時の判断も迷うものです。特に今回は東家の木原プロのホンイツ仕掛けに放銃すればラス落ちまであります。醍醐プロは打ダマを選択されますが、リーチを打たないとしても、最大限アガリやすくすることを考えれば、マンズが伸びた場合もが残っている方がよいとみて打としそうです。しかしこのあたりは微妙なライン。次巡のではテンパイを外しているところからも、ツモアガリの可能性を残した方がよいかどうかでかなり迷われたことが伺えます。
結果的にテンパイする前にソーズを掴んで降りざるを得なくなったところで、木原プロが4000オールをツモって逆転トップ。即リーチでもテンパイ外しでもトップを守れていただけあり、まさしく一打の差で明暗が分かれる展開となりました。