二限目 講座17
14枚の組み合わせはある程度パターン化できるといっても、この形ならこれを切るというように単純に暗記するのは結構困難なことですし、手牌の形や局面が少し違うだけで判断が変わるケースに対応するのも難しくなってしまいます。着目すべきなのは何を切るかより、どのような手牌の価値が高いかであり、単純な受け入れ枚数ではなく、よりよい手になる受け入れ枚数が多くなるように打つことで、多くのケースで対応できるようになります。
図Aは面子固定と雀頭固定の比較。ピンズで雀頭が作りやすく、打としてもツモなら三色。打とするとこのテンパイを逃してしまうから打と考えた方もいるかもしれません。しかし打点はあくまでアガリ全体の平均点で考えるべきですし、テンパイを逃したとしてもアガリ逃しになるとは限りません。
どんなに手広い1シャンテンでもリャンメンテンパイに比べればアガリ率は劣るので、リャンメン×2の1シャンテンと比べてアガリ率が2倍以上になることは考えにくい。一方打点については、雀頭を固定した時だけタンヤオがつき、三色についても雀頭を固定した方がなりやすいのですから打点に2倍近い差があることが考えられます。
受け入れ枚数の差がアガリ率にどの程度影響するかは手牌によってかなりまちまちなので、受け入れ枚数をそのまま打牌選択の指標にするとどうしてもズレが生じてしまいます。具体的にどのような手牌、巡目ならどの程度のアガリ率が見込めるかについては、現在研究が進んでいるのでそのうちまとめたいと考えております。
図Bは一見面子固定の打と雀頭固定の打の比較ですが、第3の選択肢としてリャンメン落としがあります。リャンメン落としはもう1つのリャンメンが埋まった時は亜リャンメンかノベタンになるという点で雀頭固定に劣ることが多いのですが、亜リャンメン、ノベタン部分が変化することで更に手広くなるというメリットもあります。今回はノベタン部分がの3メンチャンなので目先の待ちの強さでもリャンメン落としに分があり、しかもソーズの手変わりが残ることもありリャンメン落としが有利と言えます。
図Cも面子固定の打と雀頭固定の打以外に、第3の選択肢としてリャンメン落としがあります。しかも打ではなく打ならツモでメンタンピンテンパイ、ツモの変化も残ります。リャンメン×2の1シャンテン以上にはアガリ率が見込めるので、今回もタンヤオの1翻が大きく打有利と言えます。これは知らなければなかなか打てない選択ですね。
図Dはを残せばツモで高めドラの待ち、ツモでもカン待ちになるのがポイントです。これがのように単に浮いているドラなら、アガリ率優先でドラを切ることも増えますが、雀頭が無い場合はドラの重なりやドラ単騎もあるので、なおのことドラの価値が高まると言えます。
講座18
講座16の一貫性と柔軟性の問題にも通じる話です。真面目な人ほど正着にこだわるがあまり却ってミスを積み重ねてしまうこともあります。固い意志は思わぬところから負荷がかかれば脆くも崩れてしまいかねません。メンタルは強く保つというより、柔軟に構えるくらいのつもりがよいでしょう。
練習は本番のように真剣に、本番は練習のように気楽に。抽選や結果が振るわなくても、選択だけは悪い手牌なりにでも楽しめるのが麻雀です。今与えられた手牌で何をするか、目の前の手牌を生きた戦術本として、練習の時のように楽しみましょう。
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