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ネマタの戦術本レビュー第294回「手作りと押し引きの鉄戦術  著:福地誠 その1」

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Q01 

 ドラでなくても切り。鳴けること自体はメリットですが、鳴くと安くなるのでメンゼンで比較。メンゼンリーチなら1翻安くなっても良形でテンパイする方がよいです。

Q02 

 10巡目なら目先のアガリ率も考慮して打でしょうか。巡目が十分あるなら引きやチーもみて打とします。

Q03 スルー

 アガリ率だけなら、悪悪1シャンテンと、変化があるとはいえテンパイ時に悪形が残る2シャンテンの比較なので、流石に鳴いた方が上でしょう。大半の実力者がスルーするものと思われますが、「1つ鳴いたら2つ3つ鳴いても打点は変わらないから手が進むものは何でも鳴いてよいのではないか」という疑問を持たれた方もいるのではないでしょうか。私自身同じ疑問を持ったことがありますし、未だに上手く説明できる自信がありません。

 今回の手牌でリャンメンからはスルーする理由として挙げられるのは、

①「鳴いているとはいえ高打点に変化する機会が減る」

②「鳴いても安牌は減らないといっても、鳴くほど安牌が増える機会が減る」

③「鳴くほど他家から鳴きづらくなり、スルーした牌は鳴きやすい」

④「鳴くとツモ番を1回飛ばすので、①②③の要素を踏まえるとリャンメンからはまだ鳴くほどではない」

というところでしょうか。

 今回であれば特に、ドラを引きからのポンで満貫手になるチャンスという、1シャンテンになるより価値が高いまであるツモがあることが要素として大きいとみます。

 1つ鳴いて悪形残りで安手の2シャンテンとなると、リャンメンからは鳴かない理由がいくつも挙げられます。理由の一つ一つは、鳴くとシャンテンが進むという明確なメリットに比べれば瑣末なことかもしれません。しかし、全部合わせたうえで、「それでも鳴いた方が勝る」と言えるだけの手牌、局面は案外少ないのではないでしょうか。

 瑣末な要素にとらわれてしまうのはミスのもとですが、瑣末だからといって切り捨ててしまうよりは、瑣末であっても考慮したうえで判断できる方が良いのは言うまでもありません。シンプルな基準を身につけるところから麻雀を覚えた打ち手こそ、更なる実力向上のために基準そのものにはこだわらずに、細かな要素にも目を向けていくことをお勧めします。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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