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ネマタの戦術本レビュー第505回「新版おしえて!科学する麻雀 著:とつげき東北 編:福地誠 その27」

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第2章 流れ派は今でもいっぱい

 どのような文脈で、「流れ」の存在を信じているかという質問があったのかは分かりませんが、もし文脈抜きでこの質問だけがされたというのであれば、調査の結果は何ら驚くものではないと思います。私の大学時代の麻雀仲間も多くは「流れ論者」で、東大将棋部員で学生名人にもなった某氏は「流れ論者」を自認していました。

 「流れ」の存在を否定する麻雀本の元祖と言えば、『リーチ麻雀論改革派』です。当時私は本の著者である天野晴夫氏が経営する雀荘「積木」の近所にある寮に住んでいましたが、寮の麻雀メンツの中で一番強かった寮長は天野氏とも交遊がありました。『改革派』も寮長から借りて読んだのですが、当の寮長自身は、「天野の言うことも分かるが、やっぱり俺は『流れ』があると思っている」と言っていたのを記憶しています。寮長は麻雀巧者でしたが、囲碁もアマ六段の腕前でした。

 第1章の「流れ」の話の時にも申しましたが、麻雀より運要素が少ない対戦型ゲームで「流れ」という言葉が日常的に使われ、そちらでは特に不都合がなかったことが「流れ」の存在を信じると答える人が未だに多い最大の要因ではないでしょうか。こうした「流れ論者」は、抽選の偏りを予想可能と信じているとは限りません。

 本書では、「流れ」は概念のゴミ箱と表現されていますが、少なくとも『リーチ麻雀論改革派』が出版された時点では、「流れ」はゴミ箱ではなかったはずです。定義可能なものであったからこそ(「流れ」の定義としては、阿佐田哲也氏の『Aクラス麻雀』が参考になるでしょうか)、「存在しない」と主張されたのです。天野氏は著書の中で「流れ」の正体を心理的なもの、人間の心の弱さであると明かされています。

 ところが、その後いつしか麻雀界における「流れ」の定義がすり替わっていきました。『改革派』の中で槍玉に挙げられていた「流れ論者」の著名人も、昨今では当時ほど、「抽選の偏りを予想、操作することが可能である」という話をされず、心理面における「流れ」の話に留まっているように見受けられます。「幽霊の正体見たり枯れ尾花」と言いますが、あたかも最初から枯れ尾花のことを幽霊と呼んでいたかのように振る舞われています。

 どのような経緯があったのかは私も分かりませんが、そういった麻雀界の歴史背景を知らず、「流れ」という言葉が何の問題もなく使われている対戦型ゲームに通じている人にとっては、「麻雀にだけ『流れ』がないというのも変な話だから、やっぱり『流れ』はある」と信じるのも無理のない話ではないでしょうか。

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この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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