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第87回 ネマタの麻雀徒然草

第87回 ネマタの麻雀徒然草

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ネマタの麻雀徒然草とは
  • 『ネマタの麻雀徒然草』は、麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者・ネマタさんによる「麻雀に関する話題を徒然なるままに書き連ねていく」コラムです。
  • 第1回はコチラ

 戦術本『麻雀の2択』のレビューを始めさせていただきました。こちらでは本書で取り上げられている、「データの泉」を元に思うところを徒然なるままに書かせていただきます。データの具体的な数値については、是非とも本書を購入のうえ御確認下さい。

「データの泉」47p

 第85回で、アガリ形全体のうちチートイツの割合は約11.7%なので、ダブルリーチの場合はそれくらいチートイツの割合が高くなるというお話をしましたが、リーチ全体となるとここまで割合が低くなります。

 出現率の低い事象は、読もうとしても当たらないことが多く、読みが外れた場合のリスクもあるから考慮すべきでないという主張があります。データに基づく研究が始まる以前の麻雀戦術書といえば、この手の「当たらないことが多い読み」がよく見受けられましたから、当時としては画期的な考え方でした。麻雀戦術を学ぶうえでも、まずは出現率の高く、結果にも影響を与えやすい技術から身につけるべきでしょう。

 しかし、一般的には出現率が低いと言っても、個別の状況を踏まえたうえでも出現率が低いと言えるとは限りません。「チートイツっぽい」というだけなら当てにはなりませんが、「メンツ手であることを想定するのが困難」というくらい、チートイツであることを確信できる河であることもあります。


 こちらの研究では、リーチのチートイツ率が40%程度はあると読めるのであれば、単騎の待ち頃の牌を止めて無スジを押す選択が有効になるとしています。3〜7牌が多く切られている、リャンメン落としがある、ドラが切られていないという要素から、画像のリーチがチートイツである確率を40%弱と判断されていますが、個人的にはもう1つの理由から、チートイツである可能性が更に高くなり、少なくとも半分以上はあると判断しました。

 それは、「リーチ宣言牌が、単騎待ちの出アガリやすさや重なりを期待して残されたものである可能性が高い」ということです。単に中張牌が多く切られているというだけなら、配牌から不要なヤオチュウ牌が無かったメンツ手の可能性を否定できません。しかしそれに加えてリーチ宣言牌が、例えば4枚見えでない字牌であるなら、チートイツの待ち頃の牌として残されたと考えられ、チートイツである割合も高まるということです。

 今回はリーチ宣言牌が。出アガリを期待できる牌ではありませんが、メンツ手とすればを切っているにも関わらずここまでを引っ張っているのは不自然です。一方チートイツであれば、の重なりに期待して残されたということで説明がつくのではないでしょうか。

 「木を見て森を見ず」という言葉があります。個別の読みの話に終始し、データに基づく研究を行ってこなかった麻雀界はまさに、「森の中に居るので木はよく見ているが、森を見ていない」状態でした。森を見るためには、一度森の外に出なければなりません。

 しかし、データを知っただけで麻雀を知った気になるのは、言うなれば「森を見て木を見ず」の状態。木をよく見るためには、一度森の中に入らなければならないというのもまた事実です。どちらか一方に留まらず、両方の視点から麻雀を考えられるようになりたいですね。

この記事のライター

ネマタ
浄土真宗本願寺派の僧侶。麻雀戦術サイト「現代麻雀技術論」の著者。
同サイトは日本麻雀ブログ大賞2009で1位に。
1984年佐賀県生まれ。
東京大学文学部中退。

著書:「勝つための現代麻雀技術論」「もっと勝つための現代麻雀技術論 実戦編

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