- 『ネマタの天鳳名人戦牌譜検討』は、麻雀研究家・ネマタさんが「第七期天鳳名人戦」で気になった局面を取り上げていくコラムです。
- ご意見・ご感想がありましたら、お問い合わせフォームから送信してください。
第四節四回戦C卓
▼対局者
Ⓟ多井隆晴
Ⓟ石橋伸洋
Cさん:就活生@川村軍団
Ⓟ中嶋隼也
1巡前に切りでテンパイ。トップ目とはいえ2着目と大差とは言えないので即リーチしそうでしたが、赤ドラなので一発消しされやすい、ツモで三色がつく可能性がある、1巡待ってツモ切りリーチすることでリャンメン待ちではないと他家に思わせるといった理由によるダマでしょうか。
2軒リーチに手詰まりしてで東家に3900放銃。最終番の生牌字牌は無スジと同程度に危険。は西家にリャンメンで当たることはないですが、を切っているにもかかわらず宣言牌がであることから、がフォロー牌。カンやと何かのシャボはありそうなところです。
でははどうでしょう。西家に現物で、東家にもの形からを切ってリーチしたケース以外は通ります。
これだけならを切ればよいとなりそうですが、そうなると問題になるのは東家がを引っ張った理由。ラス前トップ目なのでさほど加点する必要がない東家の立場で、将来他家に危険になりやすいを、を切っているにもかかわらず浮き牌として持っているというのは確かに考えにくいものです。
そうなるとがフォロー牌で、の形から出アガリ狙いで切りリーチも想定されます。しかも南家視点からはが5枚見え。アンコやアンコスジは一般論としては特別危険ではありませんが、「宣言牌がフォロー牌の可能性が高く、メンツが完成していない場合はフォロー牌のまたぎが当たる」となると、そこでメンツが完成している可能性が低いアンコ、アンコスジはなおのこと危険になります。
しかもが当たるとするなら、この点数状況で(は雀頭)の形から受け入れを狭めてまでを切ったことになります。考えれば考えるほど、待ちはありそうで、逆に待ちは無さそうに見えてきます。
東家はだけでなくもツモ切ってを残していました。確かに安手でアガっても局が流れないのでそこまでアガリにこだわる必要がなく、他家からテンパイが入れば降りればよいのでを浮かせるリスクはさほどないとも言えます。それならを使い切る変化だけでなく、先制テンパイが取れた時に待ちを読まれにくくするという意図があったのかもしれません。
テンパイ時に出ていく可能性のあるドラを引っ張るのはリスクも伴いますが、ドラはテンパイまで引っ張られる理由が多いので他家が待ちを絞るのが難しくなります。「ドラはテンパイまで切らない」と、「出アガリ狙いは邪道」はセットで語られることが多いですが、実はドラをテンパイまで引っ張ると出アガリしやすくなる傾向があるというのも面白いものです。